新庄剛志、初めてのマイナー暮らし 過酷な環境に、ぼくが感じたこと
第3回
メジャー3年目、3Aでプレーした新庄さん。過酷なマイナー生活を体験し、思うことがあったという 【写真は共同】
メッツでの1年目にもマイナーで試合に出たことはあるけど、それはあくまでも調整のため。今度は成績不振でマイナーに送られたのだ。プレーすることになったのは、メジャーの下の3A。日本にやってくる助っ人外国人の多くがプレーしているところだ。
なにがって、移動のバス!
ポンコツのマイクロバスに大男たちがギッチギチに詰め込まれて、気をつけの姿勢で固まって座るわけ。しかもね、ひざの上に大きな荷物を抱えなきゃいけないんだ。そんな窮屈な格好で、ひどいときは10時間を超える長旅を強いられる。
ぼくにはその経験が逆に新鮮で、最初はおもしろがってやっていた。でもね、すぐにつらくなってきた。だって、バスにはトイレもついてないんだよ。
ちなみに次の試合の先発投手は、座席じゃなくてバスの床に横たわる。
「ひどい!」って思うでしょ? でも床で眠るのは、ものすごく恵まれているんだ。だって、足を伸ばせるからね。その姿を、ぼくたち野手は「いいなあ……」と眺めているわけ。ほとんどコメディだよね。
そうそう、バスは渋滞に巻き込まれることもあって、プレーボール直前に球場に着くこともある。そんなときは、ウォーミングアップなしでプレーしなきゃいけない。
なにからなにまで大変なバス移動、あれはベースボールというより“ガマン大会”だよ。
マイナーの過酷さは移動だけじゃない。
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