新庄剛志、ぼくの師匠とよき理解者 島野さんから学んだ「努力は見せない」
第2回
新庄さんが敬遠球を打ってサヨナラ安打にしたのは、今でも多くの野球ファンの記憶に刻まれている 【写真は共同】
柏原さんはぼくが阪神に入団したとき、阪神で二軍監督を務めていた。
ぼくの才能を買ってくれて、二軍でいつも四番を打たせてくれた。調子が悪くても、四番はほとんどいつもぼくだった。
柏原さんのもとに、一軍の中村勝広監督から「新庄を上げてくれ」というリクエストが入った。
大チャンス到来! しかしこのとき柏原さんは、あろうことか「新庄は上げません!」と突っぱね、中村監督とケンカまでしたらしい。
「いま一軍に上げたら、あいつは潰れる。二軍でもう3カ月、プロのピッチャーの球に慣れさせて、来年の開幕からセンターで使ってくれ」
そう言って、反対したというのだ。
この人は、こんなにぼくのことを思ってくれてるんだ──。
この日から、柏原さんをものすごくリスペクトするようになった。
実際は、柏原さんの反対にもかかわらず、ぼくは一軍に昇格。
デビュー戦の初打席でいきなりタイムリーを放った。東京ドームの巨人戦で、だよ。
それを聞いた柏原さんの喜びようはなかったね。
「新庄は俺が育てた!」なんて大はしゃぎしている。もちろん、冗談半分で。
そんな子どものようなところも大好きになった。
プロ野球界に入りたての若手選手は、まわりのみんながすごく見えてしまう。
いろんなコーチの言うことを聞き、先輩たちのマネをするうちに、自分を見失ってしまう若手はよくいるものだ。
ぼくは、そうならなかった。
そのときどきで信じられる人がひとりいればいいと思っていたからだ。プロ入りするまでは、親父がそんな存在だった。
一軍に昇格した後も、柏原さんを師匠と仰ぎ、ほかの誰よりも真っ先にアドバイスを聞きにいった。それからというもの、柏原さんとの二人三脚が始まった。
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