高橋尚成が語るMLBの異例なシーズン 「どのチームにも“ワンチャン”がある」

構成:スポーツナビ
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異例のシーズンを迎えているMLBについて、元メジャーリーガーの高橋尚成氏が語った 【スポーツナビ】

 新型コロナウイルスの影響で延期されていたMLBが、7月23日(日本時間24日)に開幕した。試合数の減少、タイブレーク制の導入、ロースター枠の拡大など、さまざまな特例・新ルール採用の中で始まった異例のシーズンの行方を、MLBジャーナリストのAKI猪瀬氏が元メジャーリーガーの高橋尚成氏に聞いた。

60試合はスタートが大事

AKI猪瀬氏(以下AKI、敬称略) 今季のMLBですが、コロナ禍ということで本来162試合のシーズンが、なんと60試合になってしまいました。試合数が大幅に減ってしまうシーズンというものを、元メジャーリーガーとしてどう感じますか?

高橋尚成氏(以下高橋、敬称略) 正直、寂しいという気持ちはありますね。やっぱり162試合をやるからこそメジャーリーグの醍醐味(だいごみ)が味わえるもありますからね。そこに移動だったり、時差だったりがあって、その中でどういうパフォーマンスをするのかというのが選手の見せ所だと思う。それが60試合しかなくなるというのは正直残念。でも、今のコロナの状況を考えると致し方ないでしょうね。

AKI 162試合の長丁場だと良い時と悪い時の波があると思うんですけど、60試合だとヨーイドンで始まってあっという間に終わってしまう気がする。先発投手だとだいたい10試合ちょっとの登板。もし、(高橋)尚成さんが現役だったとすると、どうやってシーズンに入っていきますか?

高橋 いつも以上にスタートが大事になる。自分が投げる最初の2、3試合、チームで言ったら最初の20試合の成績というのが、すごく重要だと思う。もしここでつまずくようなことがあったら、優勝候補のチームでもかなり難しいシーズンになると思う。逆に言えば、優勝は無理だろうなと思っていたチームでも、もしかしたらの“ワンチャン”がある。そういうことを考えると、8月31日がトレードのリミットですけど、その前にどんどん動くチームが出てくるんじゃないかとも思いますね。

AKI 確かにそうですね。8月31日の時点で、だいたい残り30試合程度。その時点で優勝を狙えると踏んだら、積極的にどんどんトレードで、有望な選手を手っ取り早く手に入れて優勝を目指す形が増えてくる。

高橋 そう。それこそ大物選手。本当だったらFAで来年動かなきゃいけない選手が今季途中に移籍して、その選手が優勝に導くということもあるでしょう。それを考えると、本当に最初の20試合、30試合の戦いを、普段以上に注目して見ていきたいですね。

様々なルール変更の影響とは

MLB移籍1年目はメッツで先発からクローザーまでフル回転で活躍し10勝8セーブをあげた 【写真:ロイター/アフロ】

AKI 試合数の減少に加えて、移動のリスクを軽減するために今季は同じ地区のチームとしか試合をしない。この影響というのはどうでしょうか?

高橋 まあ実際のところは始まってみないと分からないと思うんですが、これも例年とは違うトリッキーなこと。選手の立場からすると、違う地区に行って、違うチームと対戦するというのは、すごく刺激になる。実際、僕が西地区のエンゼルスにいた時、東のチームに行くとちょっとワクワクするんですよね。同地区同士の試合のみで、移動は少なくなって体力的には楽かもしれないですけど、違うストレスも生まれる。試合数も含めて、これまでとは違う戦いになるというのは間違いないですね。

AKI その他の主だったルール変更だと、ナ・リーグでもDHが導入されたこと。開幕時点でのロースターが30人に拡大されて2週間後に28人、4週間後に26人と減少していくこと。ピッチャーだと、指をなめたりする行為が禁止となり、代わりにぬれた布をポケットに入れることを許可されるなどがある。尚成さん的に気になる変更点はありますか?
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