連載:闘魂60周年記念、アントニオ猪木が語る3つのターニングポイント

77歳の猪木が目指す“理想郷”とは? 誰もやらないことに挑戦する闘魂は健在

茂田浩司

77歳になってもなお、猪木の“闘魂”は不滅だ 【撮影:菊田義久】

 今年でデビュー60周年を迎えたアントニオ猪木が、3つのターニングポイントを振り返る本企画。最終回は、総論としてこれからの未来のことについて語ってもらった。そこにも、誰もやらないことに挑戦する猪木イズム“闘魂”が隠されていた。

コロナのこの時期だからこそ「発想の転換」が必要

――これまでパキスタン、イラク、北朝鮮と「誰も行かないから俺しかいねえだろう」と単身で飛び込み、平和のために闘ってきた猪木さんの話をうかがってきました。ご自身の中には「正義の味方になりたい」という感覚はありますか?

 正義か、悪か、あんまりそういう……。打算は全くないんでね。感じたことを瞬時に行動に移す、というか。そこは、皆さんがどう見るか分かりませんけど、俺は自分らしく。

 まあね、世の中に害になるようなことはしてないつもりなんですけどね。

――もちろんです。

 逆に「猪木イズム」とか何とかが勝手に独り歩きして、染まっちゃって失敗した人はいるんだけど、フフフ(笑)。

――そうなんですね。猪木さんのマネは、誰にもできないと思うんですが。

 そういう意味では、世の中の、今、本当に仕組みというんですか。話が全く逸れてごめんなさい。

 今、コロナの検査もわずか2分間で、唾液でできる検査がある。そういう研究をずっとやっているけど、厚労省がなかなか許可を出さない。いいものだから世の中に出るかといえば、そうじゃないんですよね。

 それに関連して私は今、ゴミを消せるプラズマを推奨していますが、「日本国内でいくらやっても無理だよ、認可されるのは難しいよ」というんです。そこを私なりに発信をしていくべく活動をしています。

――誰もやらないことをやるのが、『猪木イズム』ですから、当然なわけですね。

 もっと言えば、昔、朝日新聞が「プロレスごときは書かない」みたいなことを言ったから「いいから、書かせてやろうぜ」ってね。外電(海外の通信社が発信したニュース)が入ったら書かざるを得なかった。「ざまあみろ」ということがあったね(笑)。

――モハメド・アリ戦の時ですね。「朝日新聞に試合のことを書かせてやろう」というモチベーションが隠されていたとは。

プラズマ実証車「猪木ラボ」の実用化を目指すなど、現在は世界の環境問題を解決するために精力的に活動している 【写真提供:コーラルゼット】

 今回のプラズマは、フィリピンで、もう始まります。コロナでずっとストップしていたんだけど、7月から動き出していますよ。「世界のゴミをなくして、綺麗にする」という。言葉で言うのは簡単かもしれないけど、実際にどこの国のリーダーがやったのか。環境問題を訴えるのは山ほどいるんだけど、本当に取り組んだ人はいるのか。

 私も偶然、渡辺先生(九州大学の渡辺隆行教授)と出会って。固体が液体に変わり、液体が気体に変わってとは、全く違う。温度を1万度から1万5千、2万度まで上げて、元素に還ってしまうから全くモノがなくなっちゃう。マジックみたいな話だけど、それを発信することが私の役割かなと。「猪木ラボ」といって、トラックの輸出許可も取って、フィリピンで7月から始めています。

――そうなんですね。

 世の中がコロナで落ち込んで、塞翁が馬という故事がありますけど(※「人生の幸不幸は予測できない」という意味)、この時期だからこそ、発想の転換が必要でね。コロナは大変だけど、いずれ薬も出てくるでしょうし。その次に来るものは何だろう、と。私たちが今までの生き方をいったんご破算にしてでも、地球環境をとらえて。その辺が私の、残された人生のテーマだと思うんです。

――すでに猪木さんは新たな夢に向かって歩み出しているんですね。

 ありがたいことに、俺も去年、2カ月半ぐらい入院したんですね。女房と一緒に。で、やっぱり「死」に向かう姿っていうのを毎日見ているわけですね。俺自身も、色々と悪いところも見つかったりして。病院にいる時は、病室の外をちょっと歩くくらいですね。足腰が弱くなっちゃって。今、自分なりにリハビリをやってはいますけど。

 で、渡辺先生の研究を取り上げたテレビを見たのがきっかけで、連絡したら先生が俺の大ファンだったということで(笑)。話が合って、とんとん拍子で進んでいるんだけど。

――なるほど。

 結局、次に何をしようか。もう国会に出るつもりはないし、事業は何やるの? 自分なりに、悩みはしないんだけど、プラズマに出会って、エネルギーを集中できる。

 一つには、高齢化社会の中に送るメッセージとして、もう大きなこと、小さなことを全く関係なしに。体が動くなら草刈りでもいいんですよ。俺の仲間も、同級生もいますけど。何か、高齢化社会のメッセージとしてもうちょっと「死」への向かい方というのか。死は怖いものではないし。俺は宗教家じゃないから、なかなかアレですけど、自分は「こうありたいな」と思う。

――はい。

 いつも言うんだけど「砂漠に残した足跡」っていう。まあ色んなことをやってきたんだけど、風が吹いたらそこには消えてなくなってしまう。でも、思いはそこに残っているんでね。

――寂しいですね。

 そんなね、若い人たちや同世代の人たちに送れるメッセージとして、もうちょっと発信力を強めてやりたいと思っているんだけど。

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