連載:大谷翔平、二刀流復活の序章

大谷翔平“マッチョ化”が持つ意味は? フィジカル面でも前例なき挑戦に臨む

丹羽政善
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筋肉量は間違いなく増えた

 2月19日(現地時間)のこと。

 ウエートトレーニングを終えた大谷翔平(エンゼルス)は、ノースリーブのTシャツ姿で会見場に現れた。取材は米メディア、日本メディアの順で行われたが、米記者らに囲まれている様子を撮影した写真を見て驚いた。肩から三角筋、上腕二頭筋が盛り上がり、もともと小さな顔が、一層小さく見えたのである。

現地2月19日、取材対応する大谷の二の腕が盛り上がっている 【丹羽政善】

 そのことは“大谷、マッチョ化か?”と話題となったが、どうだろう。

 そもそもあれはトレーニングを終えた直後の体。また、知り合いのカメラマンに写真を見てもらうと、「上から撮っているので二の腕がより大きく、しかも、光がその部分に当たり、後ろに腕を組んでいるので、より目立っているのでは」とのことだった。

 もちろん、かといって筋肉量が増えていない、ということでもない。間違いなく増えた。

 こんなとき、これまでなら体重増の話とすり替わり、“肉体改造でパワーアップ!”などと見出しが立ったが、今や各球団は、体脂肪率や除脂肪量指数(身長に対する筋肉量の指数)など体組成を測って、アスリートの体を管理する時代。体重が変わっていなくても、筋肉の量が増えているケースもあり、上書きされない情報は、もはや意味を持たない。

 そもそも議論されるべき本質は、筋肉が肥大したかどうかではなく、その体の変化がパフォーマンスにどうつながったのか。そして、そこへ至るプロセスである。

 今回は、アスリートを取り巻くトレーニングの変化、そして体の変化をどう正しく理解すべきかを川崎市武蔵小杉にある「ベースボール&スポーツクリニック」の馬見塚尚孝医師に話を伺いながら進める。

 すると、大谷がフィジカル面でもいかに、前例なき挑戦を続けているかが、浮かび上がる。

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大谷「あとは技術をすり合わせて…」

昨季は右ひじのリハビリに加え、左ひざの痛みと戦いながらプレーしていた大谷 【Getty Images】

「そんなにシーズン中は(ウエートトレーニングが)出来なかったので、筋力的にも後半は落ちてましたし、継続的にそういうのも取り組んでいかないとトータルで見たときに良くない」

 中盤以降は、左ひざの痛みを抱えながらのシーズンとなった昨季。右ひじのリハビリと並行して打者としての出場を続けたが、膝にかかる負担を軽減するため、ウエートトレーニングの重さを制限せざるを得なかった。すると終盤に入って大谷は筋肉量の低下を実感し、それが低迷につながった――そう読み解ける。

 よって昨年のオフから、右ひじと左ひざのリハビリを中心に、大谷は全体のフィジカル強化に力を入れた。体重は変わらないとのことだが、もはや、体重だけで判断するのは妥当ではなく、実際に筋肉量が増えたことは、大谷が暗に認めている。
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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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