ラ・リーガ再開、久保建英、南野拓実…ディエゴ・フォルランに聞く

豊福晋

J・フェリックスは間違いなく伸びていく

アトレティコの新たなエースとして期待されるジョアン・フェリックス。加入1年目ながら攻撃の中心を担う 【Getty Images】

――かつて所属したアトレティコ・マドリーの今シーズンについてはどう見ていますか?

 好意的に見ているよ。アトレティコは常にタイトルを争わなければならないという、周囲の期待がある。そんな中、今季は優勝を争ってはおらず、CL出場権争いの中にいる。その意味ではこれまでとは違った、難しいシーズンなのかもしれない。ただ、CLでは昨季の王者リバプールを破ってベスト8入りを果たしたし、リーガでもCL出場圏内まで勝ち点差はわずかに1だ。まだ11試合あるし、個人的には心配していない。ここ数年でチームは少しずつ変わっている。変革の時期を超えて、さらに強くなっていくはずだ。

――現在のアトレティコで期待している選手は?

 ジョアン・フェリックスは良いね。まだ若いけど、才能を感じる。スペイン1年目でよくやっているし、成長しているところだ。何よりもシメオネという偉大な監督の下でやれているのが大きい。間違いなく伸びていく選手だ。

――他にリーガのFWで注目している選手は?

 ルイス・スアレス(バルセロナ)しかいない。ウルグアイ代表でも一緒にやったし、彼のようなストライカーは他にはいないから。常にゴールを決めるし、どんな形からもシュートに持っていける。穴のない、パーフェクトなストライカーだ。

――2強の優勝争いを決めるポイントはどこになりますか?

 ポイントはたったひとつ。フィジカルだ。バルサとマドリー、どちらが3日に1試合という過密スケジュールの中でコンディションを落とさずに1カ月を戦うことができるか。3カ月の空白期間の後、どちらがコンディションを維持し、パフォーマンスを落とさないかに今シーズンのタイトルは懸かっている。

タクミの1対1を仕掛ける姿勢に感心

フォルランと南野はC大阪でもプレーしたチームメート。当時からフォルランは南野の勝負を仕掛ける姿勢を評価していた 【写真:REX/アフロ】

――1部にはリーガ5年目となるエイバルの乾貴士と、マジョルカの久保建英のふたりの日本人選手がプレーしています。再開初戦にはマジョルカ対バルサという試合がありますが、久保についてはどう思いますか?

 クボは何度も見たことがあるし、大きな才能を秘めた選手だと思う。19歳と若く、学ばなければいけないこともあるけれど、偉大な選手になる可能性を秘めている。この若さで(保有権を持つ)マドリーというクラブにいてリーガでプレーしているが、自分は到達したと思わず、今後も真摯にサッカーに取り組んでいくことが大事だ。中には若くして有名になり潰れる選手もいる。慢心せずに、大きな野望を持って努力してほしい。

――7月にはJリーグも再開する予定です。

 日本サッカーが日常に戻れることをうれしく思っている。元Jリーガーとして、日本には最高の思い出がある。セレッソ大阪での2年間は楽しむことができたし、日本での生活も素晴らしい経験だった。またいつか日本に行きたいね。今は監督をやっているから、もしかしたらいつか監督として日本に行くこともあるかもしれない。今、僕はウルグアイにいる。世界の反対側にいても日本のことはよく思い出しているし、つながりを感じている。Jリーグは想像以上にレベルの高いリーグだった。組織だったチームが多く、試合のインテンシティも高かった。個人でも目を引く選手が多かった。

――名前を挙げると?

 セレッソには技術的に優れた選手が多かった。そんなチームに入ることができて良かった。タクミ(南野拓実)は今はリバプールでやっている。ヨイチロウ(柿谷曜一朗)は前線で一緒にやっていたし、技術的に高くスピードもあった。キャプテンのホタル(山口蛍)も優れたミッドフィルダーだった。

――当時の南野にはどんな印象を抱いていましたか?

 まだ若かったけれど、あの頃から秀でたものを持っていた。特に感心したのは1対1を仕掛ける姿勢だ。常に勝負を仕掛ける、そんな印象がある。スピードもあったし、対面の選手をドリブルで抜き去る能力は高かった。良い選手になると思っていた。

――日本では「無観客試合」を別の呼び方にしようと動きがあります。例えば「ステイホームマッチ」や「リモートマッチ」などが候補に挙がっています。

「ステイホームマッチ」というのは良いアイデアだね。無観客だけどそれを少しでもポジティブにとらえる、そんな動きがあるのは素晴らしいことだと思う。

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著者プロフィール

ライター、翻訳家。1979年福岡県生まれ。2001年のミラノ留学を経てライターとしてのキャリアをスタート。イタリア、スコットランド、スペインと移り住み現在はバルセロナ在住。5カ国語を駆使しサッカーとその周辺を取材し、『スポーツグラフィック・ナンバー』(文藝春秋)など多数の媒体に執筆、翻訳。近著『欧州 旅するフットボール』(双葉社)がサッカー本大賞2020を受賞。

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