連載:東京五輪「注目球技」の現状と1年延期で起こりうる変化

なでしこOB大野忍さんの辛口メッセージ 足りないのは「若手の自覚とベテランの力」

吉田治良
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 高度なテクニックと決定力を兼備し、さらにムードメーカーとしても不可欠な存在だった。長年なでしこジャパンの主力として活躍し、2011年のドイツ・女子ワールドカップ(W杯)制覇、12年ロンドン五輪の銀メダル獲得などに貢献した大野忍さんの目に、後輩たちの姿はどう映っているのだろうか。

 昨年のW杯はベスト16止まり、今年3月の米国遠征(シー・ビリーブス・カップ)は3戦全敗──。危機的状況とも言われる現在のなでしこジャパンは、開催が1年延期となったことをプラスに、来年の東京五輪で結果を残せるのか。今年2月に惜しまれながら現役を引退した大野さんから、愛情に満ちた辛口メッセージが届いた。

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メンバー選考から見直す必要はあると思う

今年2月に現役引退を表明し、指導者の道へと進んだ大野さん。「勝ちたいという気持ちが感じられない」と、低調な戦いを続けるなでしこジャパンの現状を憂う 【吉田治良】

──最近のなでしこの試合をご覧になって、どのような印象を持たれていますか?

 正直、去年のW杯から何も変わっていないですね。ただ淡々と試合をこなしているだけというか。女子サッカーって、どうしても内容うんぬんより結果で判断されてしまうんです。負け試合が続けば注目されなくなるのに、その負けを糧にして、次は絶対に勝とうというモチベーションで選手たちが戦っているかと言えば、残念ながらそんな風には見えないんです。

──精神的な部分が大きいと?

 気持ちが感じられないし、本当に勝ちたいと思っている選手が、ゼロではないけれど全員ではない気がします。試合に出ている人だけが頑張る。出られない選手はそれを環境や指導者のせいにする。中のことは分からないので、もしかしたら違っているのかもしれませんが、それでもチーム一丸となって戦っている感じが伝わってこない。

──2011年のW杯を制し、翌年のロンドン五輪で銀メダルを獲得した当時のチームでは、大野さんがムードメーカーの役割も担っていました。今のなでしこに「大野2世」はいませんか?

 難しいなぁ(笑)。頑張ってくれているのは、間違いなく岩渕(真奈/INAC神戸)です。彼女が上の人たちから教わったことを、若い選手に伝えようと努力してくれていますよね。本当は“キング”(有吉佐織/日テレ・ベレーザ)がいれば適任なんですが、なにせメンバーに入っていないので。

──3月の米国遠征はスペイン、イングランド、米国と対戦して3戦全敗。奪った得点は2で、いずれも岩渕選手のゴールでした。プレースタイル的にここを改善すべきというところはありますか?
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著者プロフィール

吉田治良

1967年、京都府生まれ。法政大学を卒業後、ファッション誌の編集者を経て、『サッカーダイジェスト』編集部へ。その後、94年創刊の『ワールドサッカーダイジェスト』の立ち上げメンバーとなり、2000年から約10年にわたって同誌の編集長を務める。『サッカーダイジェスト』、NBA専門誌『ダンクシュート』の編集長などを歴任し、17年に独立。現在はサッカーを中心にスポーツライター/編集者として活動中だ。

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