連載:「Sports assist you」仕掛け人の証言

北川航也がJFAに動画を提供する理由 「日本の子どもたちに向けて…」

島崎英純

子どもたちに向けて何か発信できないかと

北川「ヨーロッパだけではなく、日本を含めた全世界において、安心できる生活が戻ることを願っています」 【Getty Images】

――今回、北川選手は日本サッカー協会(以下、JFA)の連載企画『Sports Assist You』に動画を提供してくださいました。この企画に賛同された経緯をお聞かせください。

 今、日本でも学校が休校になり、緊急事態宣言が発令される状況になる中で、海外でプレーする選手たちを中心に、子どもたちに向けて何か発信できないかという話し合いの下、家の中やちょっとしたスペースでできるものをJFAを通して提供しようということになりました。自分もオーストリアに住んでいて新型コロナウイルスへの危機感を身近に感じていますから、できることはやりたいと思ったんですね。特に日本の子どもたちに向けて思いを伝えたいと思って今回、動画を撮影してお伝えする形にさせていただきました。

――他の選手と、この企画について話をしたのでしょうか?

 ザルツブルクでプレーする奥川雅也選手とは話しましたね。「どんな動画を撮る?」というようなことを。僕と奥川選手とは同い年で、各年代の代表などでチームメートとしてプレーしたこともあるので、身近な存在でもあります。また奥川選手は19歳のときからオーストリアやドイツでプレーしているので、その経験もたくましいなと感じています。

――今回、『Sports Assist You』へ提供した動画はどのように撮影したのでしょう?

 妻にスマートフォンで撮ってもらいました。その点でも妻には助けられました。妻にはどのような動画にするかを相談して、子どもたちに「できそうでできないようなもの」が楽しまれるのではないかとアドバイスを受けました。そのようなことを話し合いながら、妻も協力してくれました。

感染拡大を防くため、責任ある行動を

――世界中が新型コロナウイルスの流行で困難な状況に置かれる中、北川選手は今、どのような思いでサッカーと向き合っているのでしょうか?

 一日も早く終息してくれることを願うしかないですね。それはヨーロッパだけではなく、日本を含めた全世界において、安心できる生活が戻ることを願っています。今はしっかり感染の拡大を防ぐことが先決だと思いますので、自分の行動に責任を持って生活していけたらと思っています。

――オーストリアは国民が行動を自粛して落ち着いて生活をすることで、沈静化の傾向もあるそうですね。

 実際にこの国に住んでいる僕は、そのような思いを特に実感していますね。そして、ヨーロッパでプレーする選手たちが自身のことや今回の動画などを随時発信しているので、それが日本の方々にも伝わって、良い形で新型コロナウイルスを抑制する、終息させる行動を皆さんが取っていただきたいと思います。

 先日、僕の住んでいる住居の玄関に手作りのマスクを置いてくださった方がいました。このような厳しく苦しい状況の中、それでも、このように助けてくださる人がいるのを感じて、とても心が安らぎました。オーストリア、ウィーンは、とても良い街だと感じています。

――最後に、ファンに対するメッセージをお聞かせください。

 必ずサッカー、いや、サッカーじゃないですね。必ず普段の生活に戻れる日が来ると信じています。今はできるだけ人とのコンタクトを避けなければ、このような事態が長く続いてしまうと思います。感染拡大を防ぐため、責任ある行動を取っていきましょう!

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著者プロフィール

1970年生まれ。東京都出身。2001年7月から06年7月までサッカー専門誌『週刊サッカーダイジェスト』編集部に勤務し、5年間、浦和レッズ担当記者を務めた。06年8月よりフリーライターとして活動。現在は浦和レッズ、日本代表を中心に取材活動を行っている。近著に『浦和再生』(講談社刊)。また、浦和OBの福田正博氏とともにウェブマガジン『浦研プラス』(http://www.targma.jp/urakenplus/)を配信。ほぼ毎日、浦和レッズ関連の情報やチーム分析、動画、選手コラムなどの原稿を更新中。

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