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怖さを克服した新GKポープ・ウィリアム
岡山で特大のポテンシャルを開花させる
昨季、期限付き移籍先の大分で鍛えられ、大きな自信を手に入れたポープ。後方からのビルドアップを新たなバリエーションに加えたい岡山にとって、その確かな足技は重要な武器となる
昨季、期限付き移籍先の大分で鍛えられ、大きな自信を手に入れたポープ。後方からのビルドアップを新たなバリエーションに加えたい岡山にとって、その確かな足技は重要な武器となる【(C)J.LEAGUE】

 192センチの長身で、足元の技術にも定評がありながら、これまで殻を突き破れなかったポープ・ウィリアムだが、ついにそのポテンシャルを開花させる時が来たようだ。今季、出場機会を求めて期限付き移籍で加入した自身5つ目のクラブ、ファジアーノ岡山で正守護神の座を奪取。有馬賢二体制2年目の進化に不可欠なピースとして、期待は大きい。

実戦経験に乏しいGKを獲得した理由

 ファジアーノ岡山の有馬賢二監督は、「継続と進化」をテーマに掲げて就任2年目の指揮を執っている。1年目の昨シーズンは、ダイレクトにゴールへ向かう攻撃と前からボールを奪いに行く守備をベースにアグレッシブなサッカーを展開した指揮官は、さらなるチャレンジの必要性をこう語る。


「昨シーズンは縦に速く、チャンスを逃さないサッカーをしてきたので、リーグの中で一番ロングボールが多かったんですが、間違いなく今シーズンは相手がそれを阻止してくるでしょう。その時に打開していくカードを1枚、2枚と持っていないと、J1昇格はない。バリエーションを増やしてボールを相手ゴール前に運んでいくことをチームとしてやっていくし、(そのためには)個々のクオリティーも必要になってくる」


 攻撃のバリエーションを増やすことと、クオリティーを上げること。主にこの2つにフォーカスして進化を目指していくため、オフに有馬監督がラブコールを送った1人が、川崎フロンターレからの期限付き移籍で、昨シーズンは大分トリニータでプレーしていたポープ・ウィリアムだった。一森純がガンバ大阪へ移籍し、GKの補強が急務となるなかで、実戦経験に乏しいポープにオファーを送った理由を、有馬監督はこう語る。


「大分のGK陣が足元にすごくトライしていることは知っていたし、後ろにしっかりとビルドアップできるポープみたいなタイプがいると、(ボールを)失わずに自分たちでやり直しながら攻撃を組み立てていくことができる。昨シーズンは奪った後のボールロストがものすごく多かったんで、ウチにとって必要なピースになると思ったんです」

散々ミスをして鍛えられた大分での1年

 指揮官の熱意に、ポープはハートを揺さぶられた。


「監督には、どういうスタイルのサッカーをしたいんだっていうことを熱く話していただいて、それが自分の求めているところと一致したんです。他のクラブからの話もありましたが、監督で決めたという部分が大きいですね」


 プロ8年目を迎え、出場機会を欲していたポープは、プレシーズンからの積極的なアピールでポジションをつかみ取った。新天地でもミスを恐れずプレーできたのは、大分で過ごした1年の経験が大きかったという。


「ホント、大分で散々ミスをして鍛えられましたから」


 そう言って笑みを浮かべながら、ポープは大分でのシーズンを振り返る。


「あそこまで徹底的にGKも関わってビルドアップするチームは初めてで、最初はミスすることへの怖さがあったし、相手のプレッシャーも怖く感じていた。それがなくなるのに2、3カ月はかかりましたね。ミスをして、怒られて、ビビってしまう。けど、また勇気を持ってチャレンジする。それを繰り返ししてきたことで、相手のプレッシャーも怖くなくなったんです。もちろん今でも失う怖さはあるんですけど、それ以上に自信があります」


 シティライトスタジアムにツエーゲン金沢を迎えた開幕戦。チームを1-0の完封勝利に導いたポープは試合後、「こうやって試合に出て勝つために、岡山に来た。強い気持ちを持って来たつもりですし、いい準備ができていた」と自負をのぞかせた。

チャレンジを求める指揮官ととともに

 192センチという長身と長い手足、そして現代サッカーには欠かせない巧みな足技を兼ね備える守護神は、岡山でついにその特大のポテンシャルを花開かせようとしている。そんな矢先にリーグ戦が中断してしまったことは残念だが、ポープは冷静に自分自身にフォーカスしてトレーニングを続けている。


「自分のことに集中できる期間だと捉えて、めっちゃ筋トレしてるところです」


 笑顔の中に充実感が満ちあふれていた。


 有馬体制2年目の進化のキーマン、ポープ・ウィリアム。「ゴールマウスを守るところに関しては、まだまだやらなければいけないことがたくさんある」と有馬監督が課題を指摘するように、シーズンが経過していけばあらも出てくるかもしれない。ただ、「選手たちにはいつもチャレンジしていこうと言っているし、進化していくため、成長していくために、僕自身も選手と一緒にチャレンジしていきたい」と指揮官は腹を据えており、ポープも臆せずにさまざまなトライができるはずだ。


「チャレンジするのは構わないと監督は言ってくれている。ただ、ゴールを守ることがGKの一番大事な仕事。まずはそこをしっかりとやっていきたいです」


 岡山が描いていく成長曲線は、ポープの成長曲線と重なっていくことだろう。


(企画構成:YOJI-GEN)

寺田弘幸

1980年生まれ。広島県出身。2007年からライターとして活動を開始し、サッカー専門新聞『EL GORAZO』にてサンフレッチェ広島とファジアーノ岡山を担当。著書に『束ねる力 新時代のリーダー・サッカー日本代表監督 森保一』(ELGORAZO BOOKS)。ファジアーノ岡山の生の情報を届けるWEBマガジン『ファジラボ』を運営。

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