“らしさ”を取り戻した渡邉新太 やんちゃなストライカーが新潟をけん引
開幕戦で決勝ゴールを決めた渡邉(写真右)。中断期間も心身ともに良い状態を保っているようだ 【(C)J.LEAGUE】
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プロ3年目で勝ち取った初の開幕スタメン
今季の開幕戦となったJ2第1節・ザスパクサツ群馬戦。0-0で迎えた82分、アルビレックス新潟は相手陣内でFKのチャンスを得た。相手DFにクリアされたボールは、予測して待ち受けていた渡邉新太のもとへと落ちていく。
「その前に(持ち直して)2、3回外していたのでトラップは考えず、ダイレクトで思い切り打った」
ペナルティーエリア手前から、右足ダイレクトでゴールネットを揺らすと、アウェーに駆けつけた約6000人のサポーターは大歓喜。流れは一気に新潟へと傾く。ロメロ・フランクとファビオにも点が生まれ、チームは3-0の完封勝利でスタートを切った。
プロ3年目で初の開幕スタメンを勝ち取り、チーム今季第1号弾かつ決勝弾を決めた渡邉は試合後、「FWは一番やりたいポジション。結果を残せてよかった」と笑顔を見せた。だが、ひとしきり喜んだあとは「FWは点を取らないと、どんどん代えられるポジション。結果が求められるので、コンスタントに取り続けないと」と自らを引き締めた。
流通経済大を卒業後、2018年に新潟へ加入。ルーキーイヤーは4-4-2のFWや左右のサイドハーフで起用された。DFの間を強引に突破して抜け出す思い切りのよさ、こぼれ球に飛び込む泥臭さを発揮したやんちゃなストライカーはJ2で10得点を記録し、その年のチーム得点王にも輝いた。
消化不良に終わったプロ2年目
昨季の主戦場は4-2-3-1の右サイドハーフ。前線のブラジル人選手は攻撃に注力するため、守備のタスクが増えた。
「守備をサボれば攻撃にパワーを使えると思うけれど、チームのために、やらなければいけない。あいつらが走らない分、俺が止めているから問題ない」
チームメートがJ2得点王を視野に入れ始めた9月初旬、2得点にとどまっていた自分に言い聞かせるように、葛藤がこぼれたこともあった。
それ以降は、8月に川崎フロンターレから加入した舞行龍ジェームズの活躍で、チーム全体の守備が改善され、ボールを保持して攻撃に関わる時間も増えた。ホーム5連勝で終えるほどに盛り返しはしたが、チームが目標としていたJ1昇格には届かず10位に終わった。
「求められたことができたから、必然的にアシストが多くなった。プレーヤーとして幅は広がったけれど、自分らしさはあまり出せなかった。プレーオフ圏内にも入らず、情けない」
個人としてもチームとしても、消化不良な1年に終わった。
注目してほしいところは「ゴール」
「攻撃のゾーンに入ったら、どんどん仕掛けろ」
「パスを考えずに、打っていけ」
スペイン人指揮官から求められたのは、積極的にゴールへ向かう姿勢。練習から、“らしさ”あふれる思い切りのいいシュートが見られるようになった。目にはギラギラとした光が宿り、やんちゃなストライカーの顔が戻ってきた。
「でもさ、子どもじゃないから、なんでもかんでもは打たないよ。見極めはする。打てるところは打つけど、パスを出すところは出す。プロだから」
これは、プロ2年目に“役割”に徹したからこそ、洗練された部分。開幕戦ではロメロ・フランクの得点をアシスト。相手のクリアボールに冷静に反応し、「コースが見えた」とワンタッチで落としたラストパスは、チームの2点目につながった。
この中断期間、「試合があってもなくても、中断していても、モチベーションは一緒。コンディションは習慣。ケアも筋トレも、いつもどおり」と、心身ともにいい状態を維持している。週1回ペースで行われている練習試合は非公開のため、詳細を聞くことはできないが、無難にコメントをする口調にも自信と充実感が漂う。
「中断明けに注目してほしいところは?」と聞くと「ゴール」ときっぱり。「FWだから、点を決めて貢献するのが一番。それが自分の仕事」。そう語る表情は明るい。
「目標はまず、2桁得点。ゴールを決めたら、チームも良くなる。ゴールでチームを引っ張りたい。いろんなパターンで決めたいね。今年はゴールの近くでプレーできるから、もっとレベルアップしないと」
今はストライカーとしての責任感と意欲、何よりそこでプレーできる喜びに満ちあふれて、再開を待ち望む。
(企画構成:YOJI-GEN)
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