福士加代子、東京五輪へラストチャンス 名古屋ウィメンズで覚悟の走り
2019年の名古屋ウィメンズマラソンで日本人2位となる8位に入り、喜びの笑みを見せた福士 【写真は共同】
屈託のない笑顔と天真らんまんな発言、そして爽快な走りっぷりでファンの心をつかんできた福士。3月25日で38歳となる彼女が迎える正真正銘のラストチャンスが、いよいよ迫ってきた。集大成と位置づけられるレースで、どんな姿を見せてくれるのか――。
ワコールで主役候補に“変身”も…
福士のポテンシャルは、いきなり花開いた。入社1年目の9月に5000メートルで高校時代の記録を1分以上更新する15分35秒台を出すと、その1週間後に迎えた日本選手権では初出場ながら15分29秒70をマークして3位になり、世界ジュニアにも出場して堂々の4位。社会人2年目の2001年には、3000メートル、5000メートル、1万メートルで日本ジュニア新記録を連発した。
その頃から夏場には欧州に遠征してレース経験を積むようになり、02年6月の日本選手権では5000メートルと1万メートルで優勝。10月のアジア大会では1万メートルで日本歴代2位となる30分51秒81(2位)を記録すると、4日後に行われた5000メートルでも日本人初の14分台(14分55秒19)を出して2位になるなど、一躍世界のトップクラスに肉薄するポジションまで駆け上がる。
その後は、世界選手権や五輪などの主要大会で日本代表の常連となった。トラック競技で頭角を現した福士だったが、当初はマラソンに興味を示さなかった。マラソン転向について問われた際には「2時間も走るくらいなら映画を見ていたほうがいいですよ」などと言っていたが、その実は日本記録の更新まで3秒弱まで迫っていた1万メートルさえ「長い」と何度も漏らすほど、長距離への苦手意識を払しょくできずにいたのだ。
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