- 内田暁
- 2020年1月22日(水) 11:20

ラファエル・ナダル(スペイン)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)、そしてロジャー・フェデラー(スイス)。男子テニス界は10年以上の長きにわたり、いずれも歴史に名を残すであろう3人の選手がグランドスラムのタイトルのほとんどを独占してきた。この「BIG3」の時代――アンディ・マリー(イギリス)を含めて「BIG4」と呼ばれた時代もあった――はいかに始まり、いつまで続くのか。そして、2020年の全豪オープンで、世代交代は起こるのだろうか。
ジョコビッチのグランドスラム初制覇で幕を開けた新時代

新たな時代への転換期は、思い起こせば、あの時のオーストラリアで訪れていた――。
ロジャー・フェデラーとラファエル・ナダルが直近2年間のグランドスラムタイトルを分け合う中で迎えた、2008年1月の全豪オープン。20歳のセルビア人選手が初めて頂点へと駆け上がり、銀盃(ぎんぱい)を南半球の夜空へ掲げた。
ノバク・ジョコビッチ。この若者の台頭により、男子テニス界はフェデラーとナダルの2強から、ノバク・ジョコビッチを交えた三つ巴(どもえ)時代へと突入する。以降、2019年までのグランドスラム48大会のうち、実に40のトロフィーをこの3者が奪い合ってきた。
そうして迎えた2020年、今もなおテニス界を支配する上位勢には同じ顔が並ぶ。世界ランキング(1月20日時点)で見ても、1位が33歳のナダル、2位が32歳のジョコビッチ、そして3位が38歳のフェデラーだ。その間、ランキングで最高4位まで上り詰めた錦織圭を含む多くの「次代の旗手」が幾度となく高き壁に挑んだが、時代を動かすまでには至らなかった。それが、この十数年における男子テニスの歴史である。
切磋琢磨(せっさたくま)――手あかのついた言い回しではあるが、互いの関係性が彼らをさらなる高みへと押し上げ、濃密なるライバル譚を紡いできた原動力となったのは間違いないだろう。2019年のウィンブルドンを制したジョコビッチは、今なお自分たちが成長し続けるその理由について、「ロジャーとラファ、そして僕の3人はお互いを刺激し高め合っている」と明言した。