富樫勇樹も大好き&折茂武彦9度目のMVPへ 北海道の魅力とオールスターの見どころ

大島和人

8度のMVPも賞金は「夜でマイナス」

過去多くのオールスターで活躍してきた折茂武彦 【写真は共同】

 折茂はJBL、NBLと合わせて19度のオールスターゲームに出場。8度もMVPに輝いた究極の晴れ舞台男だ。彼は“MVP受賞術”についてこう述べる。

「条件として、まず試合に勝たないといけない。勝って活躍すればMVPを取れる。ファン投票で選ばれればスターティング5で出られるわけですから、それだけ可能性が高くなる。選手の中でもいろんな駆け引きがあって、外には伝わらないものがオールスターにはある」

 折茂はオフェンス、得点能力を武器とするシューティングガードだから、当然ながら得点に関わる可能性は高い。加えてこの男にはパスを集めるだけの“人徳”があった。彼は冗談めかしてこう説明する。

「基本的にはパスが回ってきます。僕が圧力をかけているわけでなく、きっとその後のことを選手は考えている。MVPを取れば賞金がついてきて、それをどうするかとなる。折茂さんに取ってもらえれば、あとからいい思いができるという後輩が多かったのではないかなと思います。それだけ多くMVPを取らせてもらいましたけれど、夜はほぼマイナスで終わっています」

 当時はMVPの賞金が今より少なかったという事情もあるのだが、折茂はオールスターの打ち上げで賞金を仲間に還元をしていた。
 引退の決まったヒーローが地元でMVPを取れば最高のストーリーだが、折茂は過度の忖度(そんたく)を拒絶する。

「北海道でオールスターがあるからと言って、僕の花道ではまったくない。オールスターは各チームの選手がみんな出たいもの。ファンの方々も自分の好きな選手に出てもらいたくてたくさんの投票をしている。真剣勝負を求めているのか、お祭りを求めているのか――。このメンバーがそろっているからこそ、真剣勝負を求めている人が多いのかなと僕は勝手に考えています」

 とは言えファンは折茂の活躍を期待する。真剣勝負の中で結果を出すのならば、誰も不満はないだろう。昨季の彼は60試合中59試合に出場し、1試合平均で16分強のプレータイムを記録した。一方で今季はプレータイムが減り、ベンチを温めるだけの試合もある。

 コンディションは大丈夫なんだろうか? そこが心配になって1月のオールジャパン後に改めて確認したが、それについては力強い答えが返ってきた。

「コンディションは全然問題ないです。練習もしっかりしていますし、落ちないように走ることもしています」

北海道でオールスター以外の楽しみも

お祭り男・折茂武彦(写真左から5番目)は、北海道の地で9度目のオールスターMVPとなるか 【写真は共同】

 折茂はオールスターへの期待をこう述べる。

「ようやくレバンガが北海道の地に根付いてきている中、オールスターはバスケットに興味を持ってもらうきっかけにもなる。子どもたちにとっても見たことのない選手、見られなかった選手を見ることができて、夢を与えられる機会になる。開催は当然プラスしかない」

 レバンガは北海道とともにあるクラブだ。地域を元気づけ、経済的に潤す役割もある。折茂はファンに対して社長目線で、北海道全体を売り込むコメントをしていた。

「北海道は観光するのに大きな魅力のある、食べ物がおいしい地域でもあります。オールスターを見て夜はおいしいものを食べようとか、次の日は観光しようとか、そういうもので来ていただければ非常にありがたい」

 おすすめグルメはジンギスカンだ。

「長い間東京に住んでいて、ジンギスカンを食べる機会はほぼなかった。東京は焼き肉ですけど、僕は胃腸系が弱いんです。だから焼き肉を食べすぎると脂で胃がやられちゃう。だけどジンギスカンは全くモタレないですね」

 オールスター戦のチケットは既に完売している。しかし幸運にもチケットを入手して道外からきたえーるを訪れる方は、ぜひ富樫のように試合以外も堪能して欲しい。北海道はそれだけ「味わいがい」がある土地だ。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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