マラソン服部勇馬が元日に駅伝を走る意味 五輪代表内定も、始動は“いつも通り”

折山淑美

MGC前と同じタイムスケジュールで五輪へ

 服部にとって、この大会はどんな意味を持つのか。佐藤監督はこう話す。

「この大会がもし東京五輪の直近というなら外すけれど、まだ時間がある。それにこの大会には会社関係の人たちもたくさん応援に来てくれるので、そういう中で走るのはマイナスにはならないと思います。MGCのあとで少し緩んでいた気持ちが、このレースをすることによって引き締まったり、リフレッシュできるということもあるし、レース感覚を養うという意味でもいい試合だと思います」

日本人14年ぶり制覇となった18年の福岡国際マラソン(写真)やMGCの良いイメージを壊さないため、東京五輪まではあえてフルマラソンを走らない予定だという 【写真:松尾/アフロスポーツ】

 今後、東京五輪まではフルマラソンを走らない予定だ。「MGCとその前(2018年12月)の福岡国際マラソンで優勝した時の良いイメージがあるので、ここであえてマラソンをやるより、良いイメージのままいった方がいいだろうと二人で話し合いました。だから今回の駅伝や、ハーフマラソンなどに出場して、スピード感覚というか、レース感覚を養うくらいの位置づけのレースをやる予定です」と佐藤監督は説明する。

 当初はその一環として2月の香川丸亀国際ハーフマラソンにも出場する予定だったが、そこは今回違和感が出てしまった太ももの状態を見てから決定する予定。また、コースが札幌に変わったことで、東京なら必要なかった試走もしなければいけない。

「本格的なマラソン練習に入るのは5月からですが、それまでにも少しずつマラソンをやれるような体づくりや、基礎づくりをやっていかなければなりません。その後の高地トレーニングに関しても、MGCの前にやったような感じの考え方でいこうと話しているので、6〜7月くらいにやるつもりです」(佐藤監督)

 まだ今は、東京五輪を意識するような時期ではなく、ルーティーンとしての大会や練習をこなしていくべき時期。「今回優勝できていれば気持ちも盛り上がって乗っかっていけたけれど、2位だったので……」と佐藤監督は苦笑するが、服部はまだいつもの自分のペースでゆっくりと五輪へ向かっている段階だ。それは昨年も9月15日のMGCへ向けたのと同じ、一度経験しているタイムスケジュールでもある。

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著者プロフィール

1953年1月26日長野県生まれ。神奈川大学工学部卒業後、『週刊プレイボーイ』『月刊プレイボーイ』『Number』『Sportiva』ほかで活躍中の「アマチュアスポーツ」専門ライター。著書『誰よりも遠くへ―原田雅彦と男達の熱き闘い―』(集英社)『高橋尚子 金メダルへの絆』(構成/日本文芸社)『船木和喜をK点まで運んだ3つの風』(学習研究社)『眠らないウサギ―井上康生の柔道一直線!』(創美社)『末続慎吾×高野進--栄光への助走 日本人でも世界と戦える! 』(集英社)『泳げ!北島ッ 金メダルまでの軌跡』(太田出版)ほか多数。

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