僕のターニングポイント〜大切な人との物語〜

益田直也が今も毎年帰る場所――話を聞いてもらいたくて仕方ない

前田恵
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イップスで投げられず…メンバー入りピンチ

苦境に立たされたときも、指揮官が目を見張るほどのハングリー精神を持ち、益田は乗り越えてきた 【写真:山下隼】

 冬を越え、関西国際大で3度目の春がやってきた。益田直也はその冬も、しっかり鍛えてきたつもりだった。「松永さん(昂大=現・千葉ロッテ)のあとに先発する」ことができるよう仕上げてきたし、実際その力もついていると思っていた。
「2年の秋が終わったとき、投手コーチに『お前、このままだとおかしくなるから、しっかりやれ』と言われていたんです。『大丈夫です』と答えてはいたものの、振り返れば秋のリーグ戦でも大学選手権でも、スピードはある程度出るんだけれどもコントロールがもう一つで、どこかフォームのバランスがおかしかった。春になってフタを開けたら、やっぱりダメでした。イップスになってしまったんです」(益田)

 益田の武器だったコントロールが全く安定せず、フォームもぎこちなくなった。「だから、言っただろう」。コーチにそう言われ、春のリーグ戦メンバーから外された。
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著者プロフィール

1963年、兵庫県神戸市生まれ。上智大学在学中の85、86年、川崎球場でグラウンドガールを務める。卒業後、ベースボール・マガジン社で野球誌編集記者。91年シーズン限りで退社し、フリーライターに。野球、サッカーなど各種スポーツのほか、旅行、教育、犬関係も執筆。著書に『母たちのプロ野球』(中央公論新社)、『野球酒場』(ベースボール・マガジン社)ほか。編集協力に野村克也著『野村克也からの手紙』(ベースボール・マガジン社)ほか。豪州プロ野球リーグABLの取材歴は20年を超え、昨季よりABL公認でABL Japan公式サイト(http://abl-japan.com)を運営中。

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