
“ノニト・ドネア信奉者”としてボクシングファンに知られる赤穂亮(横浜光)は、井上尚弥(大橋)とのWBSS決勝をどう見ているのか。ドネアとの歩みを振り返りながら、試合の展望を語ってもらった。今回は後編をお届けする。
カウンターの応酬から生まれた“神懸かった”一発
赤穂を2015年4月に取材した時のメモに、フィリピンに同行してドネアとのスパーリングを見ていた、当時の赤穂のトレーナーの証言が残っている。
「ドネアがカウンターで左フックを打ってきたのをかわして、赤穂が逆に左フックをカウンターで合わせて。神懸かってましたね」
ドネアは当時でも32歳。ALAジムの関係者からは「今はアカホのほうがスピードは速いから、いい勝負になると思うし、当たると思うよ」と言われていたのだという。それでも「簡単に言うと、向かい合った時、全部見透かされているような気がした」というプレッシャーを感じながらのスパーリング。「毎回4ラウンド、5ラウンドやって、その倍ぐらい疲れました」と赤穂は振り返る。それほどの集中力を求められるものだった。
「こっちが打ってもかわされて、必ずリターンを返してくる。どうせ打っても、またカウンターを取られるんだろうなって、思わされちゃうんですよね。僕が4回戦とか6回戦とか格下の選手とやると言われるんです。『打っても、どうせ打たれるから、打っていけなくなる』って。その感覚なのかもしれないですね」
打って、かわされ、打ち返してきたのをかわして、また打つ、そんなカウンターの応酬。高い集中力でハイレベルなラリーについていった先に“神懸かった”一発は生まれたのだろう。
「スピードが落ちているとはいっても、(スピードを出し続ける)持続力は落ちているかもしれないけど、一瞬のスピードはあるんで。あのカウンターの一瞬のタイミングは、持って生まれたものでもあるし、そこは落ちてないと思います」
井上に対し、ドネアの勝機は、その一瞬のスピード、タイミングを生かした「前半KO」だと赤穂は見る。それには井上か、ドネアか、いずれかの仕掛けが条件になる。
「でも、ドネアは決して行くタイプじゃないし、ドネアのほうがリーチもあるんで、自分の距離をキープしようとすると思うんですよ」
スパーリングで感じたのがドネアの「距離感のよさ」だった。
「懐が深いです。足で距離を取るのがうまいというか」
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