「前走道悪→今走良馬場」のデータ傾向 馬券になるタイプを芝・ダート別で分析

JRA-VANデータラボ

前走道悪の結果は次走の良馬場にどう影響する?

 今回は「前走道悪(重・不良)→今走良馬場」の傾向を分析する。たとえば、前走の道悪で結果を残した馬は、良馬場になっても好走を期待できるのか。あるいは、道悪で凡走した馬の巻き返しを狙うのであれば、前走は何着ぐらいがいいのか。そうした場合のデータを調べてみたい。なお、前走が芝なら今走も芝に出走した馬のみを集計の対象とし、ダートも同様とする。集計期間は2017年1月5日〜2019年10月6日。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

「前走芝の重・不良→今走芝の良」の前走着順別成績

表1 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表1〜4の項では「前走芝の重・不良→今走芝の良」に関するデータを調べていく。

 最初に確認するのは前走着順別成績。現行のルールでは前走1着だと大半の場合で昇級戦となるが、その成績は決して悪いものではなく、単勝回収率83%と水準以上の数値を記録している。つまり、芝の重や不良を勝ち切った馬はただの道悪巧者ではなく、良馬場でも走れる地力を持った馬も多いと考えられるのではないか。一方、前走2着は単勝回収率61%、前走3着も同38%で、同クラスのレースに出走できる場合は過剰人気の様子も伺える。狙い目となりそうなのは単勝回収率98%の前走4着、同133%の前走6着で、これらは良馬場に替わっての上昇が見込めそうな着順となっている。

「前走芝の重・不良→今走芝の良」の前走4角通過順別成績

表2 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表2は前走4角通過順別成績。ここで着目したいのは前走4角1番手と2番手の成績の差で、全5項目で後者の数値が上回っている。また、前走4角3〜4番手や5〜6番手の数値もさほどではない。まとめると、道悪の前走で逃げ・先行した馬の成績は、4角2番手だった馬を除くとやや物足りない。単勝回収率が高いのは前走4角7〜9番手や10〜12番手で、妙味でいえば前走の道悪で差していた馬のほうが大きいようだ。

「前走芝の重・不良→今走芝の良」の前走上がり順別成績

表3 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表3は、前走で記録した上がり3ハロンタイムの順位別成績。ポイントとなりそうなのが、前走上がり2位の馬が1位だった馬を上回る数値を残している点だ。特に回収率では大きな差がついており、道悪の前走で上がり1位を記録した馬には過剰評価の気配も見え隠れする。近年、芝のレースでは速い上がりを使える能力が大事になっているが、このケースでは道悪ゆえに上がり1位の脚を使えたのではないか、と疑ってみてもいいかもしれない。

「前走芝の重・不良→今走芝の良」の種牡馬別成績

表4 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表4は、種牡馬別成績を着別度数順と単勝回収率順(30走以上)でそれぞれ5位まで示したもの。抜群の成績を収めているのがキングカメハメハロードカナロアの親子で、いずれも勝率は20%を超え、単勝回収率も極めて高い。前走4着以下の成績が良好という共通項があり、キングカメハメハでいえば産駒のサクラアンプルールとナリタハリケーンがワンツーを決めた17年札幌記念が好例で、両馬とも重の函館記念で掲示板外に敗れたあと、良馬場に替わって巻き返しを果たしている。なお、着別度数順1位のディープインパクトは、前走1着の成績が【10.3.4.13】、勝率33.3%、単勝回収率185%と秀逸。昇級戦をまったく苦にせず、道悪から良馬場に替わってますます本領を発揮してくる。

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