ドーハ世界陸上の見どころは? メダル候補は競歩、短距離は9秒台に期待
男子短距離は決勝進出を狙う
好調を維持している桐生。決勝進出を果たせるか注目だ 【写真:ムツ・カワモリ/アフロ】
その一番手となるのがサニブラウン・ハキーム(フロリダ大)になる。今季は5月と6月に9秒99、9秒97と2度9秒台を出していて、9秒台はしっかり手のうちに入れている。6月末の日本選手権後は少し疲労もあったようだが、そこからじっくりと調整してきているだけに、準決勝での9秒台も視野に入っているだろう。
また7月に9秒98を出した小池祐貴(住友電工)も8月には少し調子を落としていたが、大きな大会に合わせる自信を持っているだけに期待できる。桐生祥秀(日本生命)も8月には日本とスペインで10秒0台をそろえ、その後のドイツでも10秒11と安定していて、いつでも9秒台に入れる状態を作っている。彼らの準決勝の走りに注目だ。
200メートルはサニブラウンが回避したことで、注目は小池がどこまで戦えるかに絞られそうだ。決勝進出のためには準決勝では自己ベストの20秒24くらいで走らなければいけないが、100メートル準決勝・決勝の翌日から予選が始まり、準決勝までは4日間連続のレースとなる。日程にどう対応できるかがカギになるだろう。
4継は桐生とサニブラウンのバトンパスがカギ
メダルが期待される男子4×100メートルリレー。サニブラウンと桐生とのバトンパスが一つのカギとなるだろう 【写真:ムツ・カワモリ/アフロ】
ただ対抗馬となる英国や米国も、100メートルと200メートルの2種目で決勝に進出するような選手がリレーの予選を回避すれば、決勝まで中3日取れるだけにしっかりと爆発力を見せてくる可能性も大きい。これまでの実績から見れば、日本は銅メダルは確実と言える状況だが、それ以上となると4走に起用されるであろうサニブラウンが、桐生とのバトンパスの精度をどこまで高められるかがカギになるだろう。
フィールドでは現在世界ランキング1位に立つ、走り高跳びの戸邉直人(JAL)が、どこまで力を発揮できるかが見どころだ。ただ、2月の室内シーズンには2メートル30台を連発し、日本記録を2メートル35にしているが、屋外シーズンは連戦もあってベストが2メートル28に止まっているのが不安点。
だが、今季は世界でも屋外では9月9日に出た2メートル35が最高で、それに続くのは2メートル33が3人と低調だ。不調なムタズ・エサ・バルシム(カタール)が地元開催の大会でどこまで調子を上げてきているかも注目したいが、決勝では2メートル30を一発で跳べればメダルも近づいてきそうだ。
今季は城山正太郎(ゼンリン)の8メートル40を筆頭に、橋岡優輝(日本大)が8メートル32で津波響樹(東洋大)が8メートル23と、躍進著しい走り幅跳びも注目の種目だ。世界の大舞台で自己記録を出すというのは、跳躍種目では至難の業。まずは大会初日の最初の種目として行われる予選で、どれだけ余裕を持って決勝進出を果たせるかというのが、カギになってくる。橋岡と城山はアジア選手権で会場を経験しているだけに、そのアドバンテージをどこまで生かせるか。
さらには400メートルハードルの安部孝駿(ヤマダ電機)と110メートルハードルの高山峻野(ゼンリン)は、準決勝でどこまで戦えるかが注目点だろう。
一方女子も、20キロ競歩では岡田久美子(ビックカメラ)がスペインのラコルーニャで1時間27分41秒の日本記録で歩き、世界大会でも入賞圏内に入ってきた。その勢いをどこまで見せられるか。またやり投げの北口榛花(日本大)もチェコで指導を受けたのを機に、今季は自己記録を64メートル36まで伸ばして期待されている。彼女の場合もシニアの世界大会は初だけに、予選でどこまで勢いに乗った投てきができるかが大きなカギだ。また9月に12秒97の日本記録を出して代表入りした寺田明日香(パソナグループ)と、アジア選手権優勝の資格で出場する木村文子(エディオン)が挑む100メートルハードルは、世界の強豪が集まる中、準決勝でどんな戦いができるかを見てみたい。