ドーハ世界陸上の見どころは? メダル候補は競歩、短距離は9秒台に期待
メダルが期待できる競歩陣
男子20キロ世界記録保持者の鈴木雄介は、50キロに主戦場を映し、表彰台を狙う 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】
最初に行われるのは大会2日目の深夜23時30分(日本時間29日5時30分)にスタートする50キロ。15年世界選手権で谷井孝行が銅メダルを獲得し、16年リオデジャネイロ五輪では荒井広宙(富士通)が銅。前回17年世界選手権は荒井と小林快(新潟アルビレックス)で銀と銅を取った日本が得意な種目。3大会連続のメダルを狙っていた荒井は今回出場しないが、20キロから戦場を移してきた20キロ世界記録保持者の鈴木雄介(富士通)がその候補だ。
実質上の初挑戦だった今年4月の日本選手権ではいきなり3時間39分07秒の日本新記録で歩き、東京五輪のメダル獲得も視野に入れた。世界選手権男子50キロ競歩のエントリー選手の中で3位となるタイムだが、この種目の世界記録を持っているヨハン・ディニ(フランス)も5月にはリスト1位の3時間37分43秒と好調。以前は世界大会では結果を出せない不安定な面もあったが、前回の世界選手権を3時間33分12秒で制した力は侮れない。
鈴木自身も「夏の50キロと冬は別物なので、まずはそれを経験することが目的」と言うが、「うまく終盤までいけば、スパートではディニ以外には負けないと思う」という自信を持っている。それだけに、冷静な歩きで持っているスピードを生かしてメダルを獲得し、東京五輪内定第1号になる可能性も大きい。
安定感を見せている山西利和も、メダル有力候補の一人だ 【写真:松尾/アフロスポーツ】
昨年の世界競歩チーム選手権の20キロを制した池田向希(東洋大)や3回目の出場となる高橋もメダル候補だが、20キロはその時に調子のいい選手がメダル圏内に飛び込んでくることが多い種目だ。暑さもあって前半は少し抑えたペースでの戦いになるだろうが、そこでいかに力を温存して勝負所で発揮できるか。来年の東京五輪を考えれば、しっかり経験しておいてもらいたい。昨年のアジア大会優勝の王凱華(中国)をはじめとして、実績を持つ選手も多い中で、メダル獲得を含む全員入賞という結果を期待したい。