柳田将洋、主将として挑む2度目のW杯
「プレッシャーを掛けながら結果を」
主将として自身二度目のW杯に挑む柳田将洋に話を聞いた
主将として自身二度目のW杯に挑む柳田将洋に話を聞いた【坂本清】

 何もかも想定通りにいくわけではない。とはいえ、今季は予定外の事態に苦しめられた。


 プロとなり、海外リーグでプレーすることを望んだ頃から1つの目標としていたポーランドリーグ、ルビンと契約を果たし、シーズン中盤からレギュラーとして活躍。ようやくチームにフィットした手応えを感じた矢先の2月、練習時に足首をけが、柳田将洋はシーズン半ばでの帰国を余儀なくされた。


 足首の具合がよくなっても、なかなかコンディションが上がらず、薩摩川内市での親善試合後も1人黙々と自主練習に励む柳田の姿があった。描いた通りの道のりではない。だが、苦しんだ経験を通して再び自身の体や技、心と向き合い、また一回り、成長を遂げた。


 その成果を示すのが、10月1日に開幕する自身二度目のワールドカップ(W杯)。日本代表の主将として。柳田将洋は、ただ前だけを向き、決戦の場へ挑もうとしている。(取材日:8月2日)

上位国の強さは「流れを生み出す力」

柳田が感じる世界トップ10の国々と日本チームの差とは
柳田が感じる世界トップ10の国々と日本チームの差とは【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

――間もなくW杯が開幕します。柳田選手ご自身、そしてチームとして。目標に向けての距離を測るとしたら、今はどのぐらいの位置まで到達していますか?


 個人としてはいい感じです。足首をけがした時は跳べない、動けないというストレスがありましたが、今はそうじゃない。「もっとこういうプレーをしなきゃ」とプレーにフォーカスできているのが僕にとってはすごくいいことで、集中できて取り組めている証拠だと思います。


 チームとしても、やりたいことに対してみんな集中して取り組めているし、その成果はプレーにも出ています。ブロックに対する打ち方や、ブロックの出し方、その後ろにレシーブが入ってどう動く、ということが連動して徹底されているので、それを試合でどれだけ発揮できるか。勝つことも大事ですが、どうやって勝ったか、負けたとしてもどういう展開だったのか。それも踏まえて、我慢しながら戦う必要があると思っています。


――W杯では全11試合を戦うことになります。その戦い方はどんなふうにイメージしていますか?


 まず僕らとしては世界ランクでトップ10、トップ5に入るような上位国を常に倒して、苦しめて、という展開にすることで世界のトップへつながる情景が見えてくると思うんです。そういう相手に食らいつくのではなく、しっかり倒す。そんな戦いを常にできるチームにならないと、目指す頂は見えてこないと思います。


――今その圏内にいる手応えは?


 トップ10位内の国は、やっぱりいるべくしてそこにいるチームだと思います。W杯で言うならば、ロシア、米国、イタリア、ポーランド。世界のトップ6に間違いなく入るチームや、同じアジアのイランといかに戦えるか。ここには勝てるけど、ここには負ける、というのではまだダメだと思うので、トップ10前後のチームとも対等に戦えるようなチームになれれば、自分たちもそこにいる、メダル圏内にいる、と実感を持てると思います。


――トップにいるチームの強さ、日本と比べて上回ると感じるところは?


 流れを持っていかれてから引き戻すのがうまいですね。このラリーを取られたらダメだというところで絶対に取る、しかも取った後は取らせない。そういう嗅覚、感覚が鋭いし、勝負強さもあると思います。実際に試合を振り返って「あのポイントが分かれ目だった」と思う時も結構あります。相手のサーブが走ってから一気にいかれたりすることもありますが、それもただ勢いで押されているというのではなく、優勢でも冷静だったり、展開を変えていく力が強い。


 そうじゃないチームは変わっていく流れの速さに対応できなくて、バタバタして、自分たちにあったはずの流れが気づくと相手にある。じゃあ取り戻せるのか、というとそうじゃない。強いチームは一度持っていかれた流れをつかんだまま、もう一度渡しはしません。単純なバレーボールの巧さというだけでなく、試合の流れにフォーカスする力。強いチーム、うまいチームというのは、得てしてそうだと思います。


――その「流れ」を生み出す要素は何だと感じますか?


 たとえば14−9で大きな流れはないじゃないですか。もっと僅差の16−17とか、17−17とか、その状態からどちらが18点目をつかむか。それまでの背景やゲーム展開もありますが、ベースの力があって、そこに勝負するサーブがあったり、引き寄せる力がある。よく、負けると「高さとパワーが」と言われますが、そこで勝負している時点で、「高さとパワーは相手に勝てない」と相手に譲渡しているようなもの。


 いざ自分たちが対峙(たいじ)する時、高さやパワーがあることは最初から分かっていて、そこと戦うわけだから、どう戦うかというのはもっと違うところにある。いかに大事なポイントを落とさず取るか、自分たちの武器は何かと理解して戦えるか、というのが試合を動かす流れにつながるのかな、と思います。

田中夕子

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など、女子アスリートの著書や、前橋育英高校野球部・荒井直樹監督の『当たり前の積み重ねが本物になる』では構成を担当

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