日本のエースとして――石川祐希の覚悟
「W杯では、メダルを獲りにいきます」
W杯開幕を前に、全日本のエース・石川祐希に話を聞いた
W杯開幕を前に、全日本のエース・石川祐希に話を聞いた【坂本清】

 10月1日に開幕する、来るべきワールドカップ(W杯)へ向けて。大会直前に行われた記者会見の場で、石川祐希は堂々と言い切った。


「コンディションは非常にいい。パフォーマンスも高い状態を保てているし、非常にモチベーションも高く、準備は万全です」


 4年前、初めて出場したW杯の経験が、石川の視野を“世界"へと向けるきっかけとなった。


 日本のエース、そして1人のプロバレーボール選手として、石川が目指す世界。そして日本男子バレーの現在地とは――。これからへとつながる二度目のW杯を、石川は誰よりも心待ちにしている。(取材日:8月2日)

海外でのプレーで得た手応えと今後の課題

「僕自身はストレスがかかっている中で練習したほうが強くなれる」と海外生活を振り返る
「僕自身はストレスがかかっている中で練習したほうが強くなれる」と海外生活を振り返る【写真:エンリコ/アフロスポーツ】

――間もなくW杯が開幕します。現在のチーム状態を含め、目標に向け、日本代表は現在どのぐらいの位置にあると感じていますか?


 まず思うのは、そのゴールがどこなのかということです。その考え方、掲げる目標によって人それぞれ基準は違うかもしれませんが、自分としてはW杯ではメダル獲得を目指しています。「W杯でメダルを獲る」というのを基準に考えると、今はまだ半分ぐらい。半分よりちょっと前進したぐらいかな、と感じています。


――その理由は何ですか?


 ネーションズリーグでは勝つべきチームにはしっかり勝ち切れていたので、そこはいいかなと。ただ、僕たちが倒さなければいけないのは強豪国なので、そこと比較するとまだまだ力が足りない。全く足りないわけではなく、自分たちのプレーがいい時はセットも取れているので、いい状態と悪い状態のバラつきを減らすことが課題です。


 個人的にはパフォーマンスも悪くないですし、コンディションもコントロールできています。W杯は連戦ですが、そこで踏ん張れるように、今は下半身を中心にトレーニングもしっかり取り組んで、連戦も戦い切ることができる体づくりも意識しています。


――石川選手ご自身の課題は?


 対戦相手によってできることが変わるというよりも、自分の疲労が溜まってきた時にパフォーマンスが落ちてしまった。自分の中のメーターが低い時に、自分のプレーも落ちている感覚があるので、自分自身がしっかり準備して、いい状態でできればどこが相手でも関係ないと思います。とはいえ、いつも思い通りにできるわけではなく、対戦相手はサーブで自分にプレッシャーをかけてつぶしに来ますし、ストレスがかかった状態の中でどれだけ自分のパフォーマンスを高められるか。


 今はそこを1つのテーマにして取り組んでいます。今回、シエナで1シーズン通してやり続けられたことが、自分の中ではすごく大きくて。パフォーマンスがよければどのチームにも通用する手応えがあったので、そこは1つ自信になっています。相手にストレスをかけられた時に悪くならないように、耐えられるフィジカル、メンタルにするために、全体練習にプラスしてトレーニングを増やしたり、負荷をかけてきたので、いい状態が保てていると思います。


――海外では生活面も含め、耐ストレスの要素が増えると思います。その中で着実にステップアップできている要素、理由は何だと思いますか?


 間違いなく海外でやっていたほうがストレスはかかりますが、僕自身はストレスがかかっている中で練習したほうが強くなれると思っています。逆に日本代表では環境も整えられていてストレスが少ないと感じることもあるので、そこは選手同士でお互いもっと求め合って、ストレスをかけ合っていかないと勝てないと思う。トレーニングや練習でも、あえてストレスをかけるようにしています。


――日本が成長しても海外も進化し、見る方には「なかなか男子バレーは勝てない」と思われがちです。チームとして、日本がもっと強くなるために何を高めるべきでしょうか?


 ネーションズリーグで感じたのは、やはりミスの多さです。レセプションもブロックもスパイクもミスが目立った。相手にすごいスパイクを決められたとしても、そこから切り替えることはできますが、その前に自分たちでミスを出してしまうと苦しい。スパイクでも決めようという気持ちはもちろん大事ですが、気負う気持ちがミスにつながってしまっていることもある。


 自分たちから出るミスをなくさないと勝っていけないと思いますし、強豪チームは高さや技術で勝るうえにミスが少ない。そんな相手に対して簡単にミスをしていては勝つ確率は減ります。勝負所の1本を取れる選手が多いので、まずその状態に持っていくために、安定したベースをつくらないといけないと思います。

田中夕子

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など、女子アスリートの著書や、前橋育英高校野球部・荒井直樹監督の『当たり前の積み重ねが本物になる』では構成を担当

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