連載:ドラフト注目の大学生候補たち

ポテンシャル秘めた早大・加藤雅樹 ワセダの4番を担う清宮幸太郎の兄貴分

清水岳志
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高校時代は清宮とともに甲子園で活躍

4番・主将として早稲田大をけん引する加藤。長打力に加え、高校・大学と主将を務めたリーダーシップも光る(写真は首位打者を獲得した大学2年春のもの) 【写真は共同】

 ワセダの4番――。

 加藤雅樹は早稲田大2年春の時から、先発で出場した65試合(9月30日終了時点)で、その座を一度も明け渡していない。そしてこの秋、ドラフト会議でプロの指名を待つ身だ。

 早稲田実3年春の時点で、打って守れる捕手として、東京でナンバーワン野手の評価をされていた。当時、ある雑誌の取材で訪ねたことがある。ちょうど清宮幸太郎(現・北海道日本ハム)が入学して、「清宮にはものすごく期待しているんです」と楽しげに言っていた。

 その言葉通り、2015年夏、清宮が甲子園を席巻した。西東京大会では、日大三、東海大菅生を奇跡的な試合で倒して大舞台に駒を進める。甲子園でも2本塁打を放つなど、話題の中心となった。

 しかし、早稲田実の和泉実監督は「チームの中心は加藤ですよ。彼が1年生の清宮のやりやすいようにフォローし、チームをまとめた」と加藤のチームを強調した。

 加藤自身も早稲田実1年生の夏からレギュラーで試合に出て、上級生が作った自由な雰囲気の中でやってきた経験があった。

「清宮にはチームの雑用などは気にしなくていい。自分の野球のことだけ考えろ、と言いました」

 後に加藤はそう言っている。

 当時の早稲田実は投手陣が不安だった。西東京大会も打ち込まれて接戦が多かったし、甲子園でも広島新庄、東海大甲府戦は打撃戦。その投手陣をリードしたのが主将で、捕手の加藤だった。キャッチャーマスクを抱えてマウンドに小走りする姿をよく覚えている。結果ベスト4に進んだが、仙台育英の佐藤世那(元オリックス)と郡司裕也(慶應義塾大4年)のバッテリーの前に完封された。

 加藤の甲子園での打撃成績は5試合で18打数8安打(4割4分4厘)、1本塁打、2打点。その1本のホームランは清宮との2者連続ホームランだった。ライトのポール際に弾丸ライナーで打ち込んだもので清宮も「ものすごい当たりだった」と感嘆した。
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著者プロフィール

1963年、長野県生まれ。ベースボール・マガジン社を退社後、週刊誌の記者を経てフリーに。「ホームラン」「読む野球」などに寄稿。野球を中心にスポーツの取材に携わる。

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