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僕しか知らない星野仙一
星野さんからあった引退後の相談
江本孟紀は何と答えた?

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第10回

プロ野球の監督として、通算1181勝を挙げた星野さんも、引退後は自分の方向性に悩んでいたようだ
プロ野球の監督として、通算1181勝を挙げた星野さんも、引退後は自分の方向性に悩んでいたようだ【写真は共同】

 星野仙一さんが引退した直後、実は僕のところに星野さんの関係者を通じて相談されたことがある。「引退後、どう活動していけばいいのか」、その方向性が定まっていないというではないか。

 その1年前、引退した直後の僕は路頭に迷う寸前のところまで来ていた。後先考えずに阪神を辞め、僕のように問題発言するような元プロ野球選手に、スポーツ新聞社が評論家として招いてくれるはずもない。

 だが、このとき声をかけてくれたのがニッポン放送だった。僕は大阪にいて、東京の放送局など縁がない。けれども解説者として招き入れてくれたのだから、本当にありがたい話だった。


 そして翌82年4月から、球場のなかの狭い空間で、アナウンサーと丁々発止のやりとりを見せた。グラウンドが仕事場だった僕が、屋根のあるところで仕事をするのは不思議な感じがしたが、しゃべることの難しさを逐一感じながら、当時は話していたものだ。


 自分の思っていることはリスナーに伝わっているだろうか、理解してもらえないとしたら、どういう言葉が足りなかったのかなど、試合の中継が終わってから反省会を開き、また次の解説の機会に備える……そんな日々を送っていた。

 そんなさなか、驚きとうれしさの入り混じった体験をした。僕が上梓した『プロ野球を10倍楽しく見る方法』(KKベストセラーズ)が、なんと300万部を超える大ヒットとなったのだ。スタンドやテレビを見ているだけではわからない、ベンチの裏側の選手たちの会話やユニークなエピソードを集めた内容だったのだが、これが多くの人のハートをわしづかみにしたようだった。


 また、CMやテレビの出演も多く決まり、谷崎潤一郎原作の映画『細雪』では、あの吉永小百合さんの相手役を務めるということで、ちょっとした話題にもなっていた。

 そんな折での星野さんの引退である。1学年下の僕が、なぜか売れに売れている姿を見聞きして、


「江本、ずいぶんうまいことやっているな」


 と思ってくれたのかもしれない。


 そこで星野さんと長年にわたって親交のあった大手スポーツ紙の……仮にTさんとしておくが、彼がどうしても僕に相談したいことがあるというので話を聞いたら、冒頭の質問だったのである。

 なるほどと思いつつも、相手は六大学の1つ上の大先輩だ。いい加減なことを言えるわけがない。


 そこで僕は、阪神を辞めてからどういう経緯で今にいたったのか、ありのままの真実だけを淡々と話し、僕が考えていることを付け加えてTさんに話をした。

 そのとき、僕はこんなメッセージを送った。

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