連載:僕しか知らない星野仙一

星野さんの優れた交渉術 重要だった「ただし、条件があります」

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第4回

中日監督の就任時、オーナーにチーム改革方法を進言したという星野さん 【写真は共同】

 星野さんが現役を引退してから監督に就くまでの4年間は、中日は低迷した。2位が1度、5位が3度の成績を見ればそれもうなずける。
 当時の中日の親会社である中日新聞は、中部地方にとどまらず、「中日新聞を全国紙にしたい」という野望があり、その第一歩として東京新聞をグループの傘下におさめた。
 一方で、全国紙の発行部数ナンバーワンの読売新聞社は、中部読売新聞社をテコ入れして、中京圏のシェアを中日新聞から奪い取りたいという思惑があった。
 中日新聞からすれば、この競争を制するには読売、つまり「巨人」に対して並々ならぬ打倒精神を持っている人を監督に据えること――その答えが「星野仙一」だったのだ。

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 当時、中日のオーナーだった加藤巳一郎さんと星野さんとは親しい付き合いがあったわけではない。それゆえ直接「監督を頼みたい」と言われることはなかったはずだ。
 だが1人、加藤オーナーが「星野さんを監督に考えているんですが……」とお伺いを立てたとしたら、それは川上哲治さんをおいて他にはいない。しかも川上さんからしたら、プライベートで可愛がっている星野さんに対してNGを出す理由など何もない。こうして星野さんの中日の監督就任が決まった。

 そして星野さんが監督という立場で初めて加藤オーナーとの会談の場で、
「星野君にチームを託したい。中日をチャンピオンチームにしてもらえないだろうか?」 こう切り出されたら、普通はどう答えるだろうか。そこで、「無理です」という人はまずいない。どんな人でも「全力を尽くします」と答えるものだ。
 けれども、星野さんはここからが違う。
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