星野さんの優れた交渉術 重要だった「ただし、条件があります」
第4回
中日監督の就任時、オーナーにチーム改革方法を進言したという星野さん 【写真は共同】
当時の中日の親会社である中日新聞は、中部地方にとどまらず、「中日新聞を全国紙にしたい」という野望があり、その第一歩として東京新聞をグループの傘下におさめた。
一方で、全国紙の発行部数ナンバーワンの読売新聞社は、中部読売新聞社をテコ入れして、中京圏のシェアを中日新聞から奪い取りたいという思惑があった。
中日新聞からすれば、この競争を制するには読売、つまり「巨人」に対して並々ならぬ打倒精神を持っている人を監督に据えること――その答えが「星野仙一」だったのだ。
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だが1人、加藤オーナーが「星野さんを監督に考えているんですが……」とお伺いを立てたとしたら、それは川上哲治さんをおいて他にはいない。しかも川上さんからしたら、プライベートで可愛がっている星野さんに対してNGを出す理由など何もない。こうして星野さんの中日の監督就任が決まった。
そして星野さんが監督という立場で初めて加藤オーナーとの会談の場で、
「星野君にチームを託したい。中日をチャンピオンチームにしてもらえないだろうか?」 こう切り出されたら、普通はどう答えるだろうか。そこで、「無理です」という人はまずいない。どんな人でも「全力を尽くします」と答えるものだ。
けれども、星野さんはここからが違う。
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