甲子園出場の霞ケ浦が重視する体のケア「選手を壊したら何にもならない」

佐藤拓也

霞ケ浦高を率いて甲子園出場を果たした高橋監督 【佐藤拓也】

 今年で101回目を迎えた全国高校野球選手権。酷暑の影響で身体への負担は増し、熱中症の危険がつきまとう。だが、今も昔も高校球児にとって、夏の甲子園が夢の舞台であることに変わりはない。子供たちを守りながら、いかに戦わせるのか。

 今回は、この夏の甲子園に茨城代表として出場し、1回戦で履正社と対戦した霞ケ浦の高橋祐二監督に話を聞いた。将来のある選手を預かる監督として、選手のコンディションのケアとけがを防ぐことの重要性について話してもらった。

履正社に敗れるも「打撃の状態は上がっていた」

――夏の甲子園では、1回戦で履正社と対戦しました。6対11で敗戦となりましたが、結果的に優勝したチームに対して健闘したと思います。いま振り返って、いかがでしょうか?

 全国制覇したチームですから、強いのは当たり前ですよね。もちろん力の差はあったのですが、コンディション調整で少し後悔しているところがあります。試合は2日目の第1試合で朝8時プレーボールだったんですね。その試合に合わせるための調整に失敗したという思いはあります。組み合わせが決まってから4日間、毎朝4時に起きて8時に向けて体を合わせようとしたんです。でも、逆に時差ボケみたいな状況になってしまい、10時頃になると少しだるくなるような感じになってしまいました。なので、普段通り生活をさせておいて、試合の前日だけ調整すれば良かったかなと。そうすれば、もう少し(エースの鈴木)寛人も力を発揮できたんじゃないかなと思います。ただ、相手が強かったことは事実。そのチームに向かっていった結果だと受け止めています。

――初回に失点して、さらに点数を広げられましたが、終盤は追い上げを見せました。

 試合をひっくり返せるような雰囲気はありました。ただ、2回の2死二塁からショートのエラーが3回の失点につながったと思いますし、5回に7点差になった後、無死一、三塁というチャンスがあったのに淡泊な攻撃で1点も取れなかったことも響きましたね。点差が開きながらも着実に1点でも返すことができていれば、結果は違ったかもしれません。なので、そういうところが大きかったなと感じました。でも、茨城県代表としての意地は見せられたかなと思います。

――前回(2015年)出場時と比べての変化は?

 室内練習場ができたおかげで打撃力が向上しました。県大会では土浦第三の濱崎鉄平投手や藤代の中山航投手、石岡第一の岩本大地投手といった好投手から多くの安打を打って勝つことができました。甲子園でも敗れはしたものの、2桁安打(12安打)を打てました。そうやって考えると、多くの点数は取れませんでしたが、バッティングの状態は上がっていることを感じました。打つ量が増えました。

甲子園1回戦、履正社戦で先発したエースの鈴木寛人 【写真は共同】

――暑さ対策として、何か特別な取り組みはされていますか?

 県大会の準々決勝の後の空いた日に全員でサウナに連れて行って、1時間半ぐらい風呂とサウナに入ってリラックスさせて準決勝を迎えるようにしています。精神的にリラックスさせて、血液の循環を良くさせれば、疲れも取れるでしょうし、フレッシュした状態で次の試合に挑むことができると思っています。

――リフレッシュすることは大事ですね。

 あとは水素の吸入も行っています。試合が終わった後、20分から30分水素を吸入して疲労を回復させるようにしています。そのための機械を5年前に購入しました。

――体力づくりも大事ですが、コンディションを維持するための疲労回復の取り組みも大事になるということですね。

 選手たちの状態が本当に良くなっているかどうかは分かりませんが、それをやることによって軽くなる感覚がある選手には『しっかりやりなさい』と話をしています。無理やりやらせているわけではありません。

――夏の大会では投手のコンディション作りも重要となります。

 特別なことはしていませんが、肩と肘の可動域は落とさないようにしています。当然、投げ込んでいけば疲労はたまり、関節は硬くなります。なので、ストレッチには時間を割いています。

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著者プロフィール

1977年7月30日生まれ。横浜市出身。青山学院大学卒業後、一般企業に就職するも、1年で退社。ライターを目指すために日本ジャーナリスト専門学校に入学。卒業後に横浜FCのオフィシャルライターとして活動を始め、2004年秋にサッカー専門新聞『EL GOLAZO』創刊に携わり、フリーライターとなる。現在は『EL GOLAZO』『J’s GOAL』で水戸ホーリーホックの担当ライターとして活動。2012年から有料webサイト『デイリーホーリーホック』のメインライターを務める。

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