連載:指導者のエゴが才能をダメにする ノムラの指導論

基本を疎かにしては絶対に一流になれない 野村克也の指導論

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第8回

ノムさんは、古田氏(写真左)が現役時代のユマでの春季キャンプでのコラレスコーチとのやり取りで、基礎の大事さを再確認したという 【写真は共同】

 基本をおろそかにしないこと――私が心がけていることである。
 こう書くと、「なんだ、そんなの当たり前じゃないか」と思われる人もいるかもしれない。私が言いたいのは、「基本をおろそかにしないことを継続するのは、根気と積み重ねが必要」だということだ。
 このことを思い知らせてくれたのは、私が南海のプレイングマネージャー時代のことである。当時、内野ノックはヘッドコーチであるドン・ブレイザーにお願いしていた。彼のノックは、正面のやさしいゴロばかり。左右に動いてフットワークを要する打球は決して打たなかった。
 するとあるとき、選手の1人がブレイザーにこう注文をつけた。

「もっと左右に散らすようなノックを打ってもらえませんか」

 するとブレイザーは間髪入れずに、こう返した。

「正面のゴロを完璧に捕って投げられるようになるまでは、左右のノックはしない」

 だが、その選手も食い下がる。

「それではあなたの現役時代のようなファインプレーができないじゃないですか」

 この問いに対するブレイザーの答えは明快だった。

「正面のゴロを完璧に処理する。基本的なことがしっかりできるようになり、あとはダッシュ力さえあれば、あのようなプレーは誰にだってできる。だからまずは正面のゴロを100%、捕れるようになってから次の段階に進もうじゃないか」

 ブレイザーにそう言われると、その選手はそれ以上反論しなかった。
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