富島、誉、飯山…それぞれの初出場物語 甲子園で感じた「違い」と「幸せ」
飯山:雪を言い訳にせず、すがすがしく
飯山(長野)の大川陸主将の思いだ。
だがそれをハンデとせず、冬には長靴で走る雪上ダッシュが恒例だ。もともとスキー経験者が多く、しっかりしていた足腰がさらに鍛えられる。また、動きが思うようにいかないため、1歩目を早く切る練習にもなる。踏み固められた雪を練習スペースにすれば、一石二鳥だ。さらに、冬の間に5万スイングのノルマも全部員が達成し、打力も向上。それが、ノーシードからの初めての甲子園につながった。
17年に赴任して部長となり、昨年10月に就任した吉池拓弥監督は言う。
「雪国だからできる練習もある。ハンデと捉えず、粘り強さで戦っていきたい」
初めての進出だった長野大会の決勝、延長10回のサヨナラ勝ちこそ、まさに粘り強さの象徴というわけだ。
甲子園の登場は、第4日第2試合。地元からはバス65台、全校生徒621人のうち約500人を含むおよそ3000人が、アルプススタンドをぎっしりと埋めた。相手は、49校中最多の28回出場を誇る仙台育英(宮城)。その名門を相手に飯山は、3回2死二塁から大川の適時打で先制に成功した。沸き返るスタンド……。
だがその裏、4点を失って逆転されると、5回には1イニング全員得点を記録されるなど、3投手の必死の継投も結果は1対20の大差。「飯山らしく先制パンチは出しましたが、やはり力強さなど、全国とのレベル差を感じました。5失策とか、甲子園は普段起こらないようなプレーが出る場所なんですね」とは吉池監督だ。
ただ、記念すべき甲子園初得点をたたき出した大川主将は、こうも言うのだ。
「最後はこういう形で終わってしまいましたが、3年間幸せでした。いまはすがすがしい気持ちです」
3校の、初出場物語。それぞれの第2章を楽しみに待つ。
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