元ソフトBの李ボム浩が現役引退 日韓で親しまれた「花のイケメン満塁男」
3:「満塁男」
通算満塁ホームランは17本。勝負強さは目を見張るものがあった(写真は韓国代表のもの) 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
13日の引退試合に6番サードで先発出場した李ボム浩には、その称号にふさわしい場面が3打席目に訪れた。
3対7でKIAが4点を追う5回裏2死、ランナーは満塁。一発出れば同点だ。ここで李ボム浩は、カウント1ボール2ストライクでハンファの先発ワーウィック・サーポルトが投じた、139キロのカットボールをとらえた。打球はレフトへ。しかし伸びのないボールは左翼手のグラブの中に収まり、李ボム浩は現役最後の打席を終えた。
李ボム浩は試合後、この場面を「三振だけはしないようにと思ってあせったら、スイングの始動が早かった。バットの先だった」と振り返った。自身の持つリーグ記録更新とはならなかったが、最後まで満塁に愛された男だった。
4:「チャンスに強い」
2009年のWBC決勝戦では、9回に値千金のタイムリーを放った 【写真:ロイター/アフロ】
「いつも誠実で一生懸命。そしてチャンスで強かった。4番の自分がチャンスを逃しても、後ろでかえしてくれた」
その李ボム浩の勝負強さによって今なお、語り継がれる名場面が生まれている。
今から10年前、日本と韓国が対戦したWBC決勝戦。日本が1点リードの9回裏2死一、二塁で、韓国の6番・李ボム浩は日本の3番手・ダルビッシュ有(カブス)から三遊間を破る同点タイムリーを放ち、土壇場で延長戦へと持ち込んだ。
そして延長10回表日本の攻撃。それまで不振だったイチロー(元マリナーズ)にチャンスが回り、イチローは林昌勇(イム・チャンヨン、元東京ヤクルト)からセンターに決勝打を放った。もし、9回裏に李ボム浩が凡退し、その時点で試合が終わっていたら、イチローの伝説のシーンは生まれていなかった。
イチロー、林昌勇、李ボム浩。この歴史的場面の立役者は偶然にも今年、いずれも現役引退を表明している。
今秋、海外でコーチ研修を受ける予定
かつてハンファ、代表チームで共に戦った李ボム浩(中央)と金泰均(右)。左はハンファの主将・李性烈 【写真:KIAタイガース】
李ボム浩は今秋、海外でのコーチ研修を受け、来年以降、指導者として活動することに意欲を持っている。
「韓国の若手にいい打者はいるが、ボールにバックスピンをかけて打つ技術を知らない。これからもっと研究して、(KIA)タイガースに指導者として戻ってきた時に、長打を打てる選手を作ることが最大の目標だ」と話した。
李ボム浩の手によって一発が打ててチャンスに強い、花がある選手が現れる日が楽しみだ。