大谷にかかる期待と、エンゼルスの現状
急逝したスカッグスのためにも援護を

提供:日本航空

追悼試合で継投ノーノー達成

スカッグスが急逝して最初のホームゲーム、7月12日のマリナーズ戦。エンゼルスは継投によるノーヒットノーランを達成した。この日は大谷をはじめ全選手がスカッグスの背番号45のユニホームを着用した
スカッグスが急逝して最初のホームゲーム、7月12日のマリナーズ戦。エンゼルスは継投によるノーヒットノーランを達成した。この日は大谷をはじめ全選手がスカッグスの背番号45のユニホームを着用した【Getty Images】

 そのエンゼルスにとっての課題は、なんといってもチーム防御率4.98(ア・リーグ11位)の投手陣。特に先発は大谷が投手としてはリハビリ過程という中、昨季は9勝を挙げたサウスポーのアンドルー・ヒーニーが故障で出遅れ、オフにFAで獲得したマット・ハービーとトレバー・ケーヒルも期待外れ。23歳のグリフィン・キャニング、21歳の左腕、ホゼ・スアレスといったルーキーをデビューさせ、救援投手を短いイニングで先発させる「オープナー」も多用するなど、なんとかローテーションをやりくりしてきた。


 そこへきて、7月に入って想像もできないような悲劇に襲われる。開幕から先発ローテーションを守って7勝を挙げていた27歳の左腕、タイラー・スカッグスが遠征先のホテルで急死してしまったのだ。チームにとって、これ以上の痛手はない。しかし、この悲劇がエンゼルスナインの心に火をつけた。


 突然の訃報の後、初めて本拠地のエンゼル・スタジアムで行われた7月12日のマリナーズ戦。スカッグス追悼の意味で選手全員が「SKAGGS」のネームと背番号45のユニフォームで臨んだこの試合、初回からトラウトの2ランなどで7点を奪うと、投げてはオープナーのテーラー・コールから2番手フェリックス・ペーニャにつなぐリレーで、なんとノーヒットノーランを達成。奇しくもこの日は、スカッグスの誕生日前日。試合後はナインがそれぞれのユニフォームを脱いでマウンドの上に並べ、天国のチームメイトに勝利を捧げた。


 この日のインタビューで「僕らには天国で見守ってくれている天使(エンゼル)がいる」と話したペーニャの言葉を証明するかのように、エンゼルスはここから5連勝。一時は13.5ゲーム離されていたア・リーグ西地区首位アストロズとの差を9に縮め、2枠のワイルドカード争いでも2位のインディアンスに4.5ゲーム差まで迫った。


 その後は連勝・連敗が続き、7月31日のタイガース戦からの4連敗で6月30日以来の借金生活に転落。現在は首位アストロズとは19.5ゲーム差の4位で、ワイルドカード争いでも2位のレイズとは10ゲーム差と、プレーオフ進出もかなり厳しい状況にある。


 新たな逆風にも見舞われている。先の継投ノーヒットノーランも含め、チーム最多の8勝をマークしていたペーニャが、ベースカバーの際に右ヒザを痛めて負傷者リスト(IL)入り。ルーキーながら4勝を挙げていたキャニング、そして4度のゴールドグラブ賞に輝く名遊撃手のアンドレルトン・シモンズもIL入りしてしまったのだ。今季は主にオープナー後の2番手としてチーム最多の96回1/3を投げるなど、スカッグス亡き後は実質的なローテーションの柱でもあったペーニャの離脱で、投手陣はさらなる苦境に立たされている。

主力打者が相次いでケガに見舞われる今、大谷にかかる期待は非常に大きい
主力打者が相次いでケガに見舞われる今、大谷にかかる期待は非常に大きい【Getty Images】

 ならば打線が援護するしかない。今季のエンゼルスは4点以上取った試合は52勝21敗、勝率7割1分2厘と、圧倒的な強さを誇る。通算3000安打&600本塁打を達成しているレジェンド、アルバート・プホルスは39歳という年齢ながら後半戦は打率.273、4本塁打、18打点と奮闘しているが、やはり頼りになるのは現在36本塁打、87打点でア・リーグ二冠王のトラウト。主砲をアシストする意味でも、後を打つ3番・大谷にかかる期待は大きい。


 大谷は8月3日に今季73試合目で昨年を上回る24度目のマルチ安打を記録したが、後半戦は打率.243、1本塁打と調子を落としている。ここからシーズン終盤にかけて、どう巻き返していくかということはもちろん、その大谷も兄のように慕っていたというスカッグスの「弔い合戦」に燃えるエンゼルスの戦いぶりにも、最後まで注目していきたい。


(※成績は現地時間8月8日終了時のもの)


JALは、日米間の渡航サポートを通じて、世界を舞台に挑戦を続ける大谷選手を応援しています

【(C)Japan Airlines】
菊田康彦
菊田康彦

静岡県出身。地方公務員、英会話講師などを経てライターに。メジャーリーグに精通し、2004〜08年はスカパー!MLB中継、16〜17年はスポナビライブMLBに出演。30年を超えるスワローズ・ウォッチャーでもある。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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