連載:指導者として、レジェンドたちが思うこと

二軍監督として半年、松井稼頭央のいま 「若い選手と一緒に学んでいきたい」

ベースボール・タイムズ
 2002年に打率3割3分2厘、36本塁打、33盗塁で史上8人目、スイッチヒッターとしては初のトリプルスリーを達成。その後、メジャーでも7年間プレーし、多くのファンを虜にした。抜群の身体能力で走攻守三拍子を高次元にそろえたプレースタイルは、野球少年たちに多大な影響を与え、まだファンの脳裏に強く焼き付いている。

 1975年10月23日生まれの現在43歳だが、昨年まで現役としてプレーした肉体は今も健在だ。少なくとも見た目において、衰えは感じさせない。むしろ若々しいと言える。選手時代晩年はベテランの扱いだったが、指導者としてはまだまだこれから、始まったばかりだ。

始まったばかりの指導者生活「まだまだ勉強中」

選手の練習サポートも精力的にこなす。その姿は若々しく、年齢を感じさせない 【写真は共同】

――引退してから、これまでとは違う角度から野球を見るようになった。指導者としてうれしさや面白さを感じる時は?

 一番はやっぱり選手が成長する姿を見ることができた時。練習でやっていることが一つでも試合で出た時、コーチの方と取り組んできたことが試合の中で見えてきたりするとうれしいですね。若い選手だと、まだまだやらないといけないことは盛りだくさんですけど、それを一つずつ経験して、反復して、自分のものにしていってもらいたいと思っていますし、そのためにサポートできたらと思います。

――指導者、監督として、選手時代とは異なる苦労を感じることも多いかと思いますが?

 どうでしょうね。苦労っていうのは、まだないですよ。その意味でもまだまだ視野が狭いんだと思いますし、まだまだ勉強中ということだと思います。周りに助けてもらいながら、毎試合、勉強しているところ。僕自身がもっと成長しないといけないですし、若い選手と一緒になって学んでいきたいと思っていますから。

選手が一番伸びる瞬間とは?

「自分で考えて、自主性を持つ」ことで成長できると松井監督は説く 【花田裕次郎/ベースボール・タイムズ】

――去年はチームメイトでしたが、今の二軍の若い選手を見て思うことは?

 去年はほぼ一軍にいましたし、実際に1年目の選手とかは一緒にはやっていないので、先入観みたいなものはない。昨年の秋、11月からスタートしたんですけど、その時は野手6人ぐらいしかいなかった。でもそこで約2週間ぐらいやって、いい状態でキャンプインしてくれと伝えた。やっぱり選手が成長するためにはオフの練習が非常に大事になってきますし、実際にキャンプが始まると、それまでにちゃんとやってきた選手は分かる。身体つきも変わりますし、そういう選手は楽しみですね。そこから教育リーグ、シーズンと入っていく中で、また違った緊張感の中でプレーしますし、そうなるとまた新しい課題も出てくる。それを一つ一つクリアして、繰り返して、成長していく。そういう姿をもっと見せてもらいたいという思いはありますね。

――監督の中で、成長するために必要なこと、成長する選手の特徴はありますか?

 一番はやっぱり自分で考えて、自主性を持って、自分の世界に入って練習できる選手かなと思いますね。自分の時間を持って、自分の時間に何をするか。自分の時間の中で、時間を忘れてまで練習することができるか。その瞬間が一番伸びると思いますし、それはどの選手にも当てはまると思います。

(取材・構成:三和直樹/ベースボール・タイムズ)

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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