僕のターニングポイント〜大切な人との物語〜

「日本一の遊撃手になる」 小園海斗は両親の応援を胸に突き進む

瀬川ふみ子
アプリ限定

スカウトも驚愕した母との食トレ

自身が努力したのはもちろん、陰で支えた両親とともに“アマチュアNO.1ショート”の称号をつかむことができた 【写真:山下隼】

 報徳学園高で1年春からレギュラーとなり、2年春には選抜甲子園に出場。三拍子そろったショートとして注目を集め、その夏には2年生ながらU-18日本代表にも選ばれた小園海斗(現・広島)だが、2年秋、9月最後の日に兵庫大会で敗れ、翌春の選抜甲子園への出場が絶望的になった。
 敗れた試合の帰りの車の中で、母・こず江さんが声をかける。

「春まで長いなぁ。どうするー?」

「そやなぁ……夏からずっと戦ってきて、戦い抜く体力が、ないなぁ」

 U-18日本代表に選ばれ、カナダでワールドカップを戦い、2番・ショートとして活躍してきたが、「自分、そのメンバーの中で、一番小さかったんです」と海斗。体の線の細さ、パワー、体力、すべての面で、1学年上の代表メンバーに比べて、明らかに劣っていると感じたのだ。

 それまで、“体作り”という点にはあまり重きを置いていなかったが、日本代表で栄養講座も受け、代表メンバーの体つきを間近に見て、「練習で技術を上げること、トレーニングで体力を向上させることももちろん大事だけど、それ以前に、体を作らなければ戦えない、目標にしていた“日本一のショート”にもなれない」ということを痛感した。

「春までまだ長いからな。何か決めてやっていかな、もったいないなー。一から体作りやってみる?」

 母の言葉に、「そやなー、やるわ!」と。

 高校2年生の秋、2017年10月1日、そこから母子二人三脚の食トレが始まった。

「仕事としてサッカーをやっていた母だからこそ、体作りが大切ってことが分かっていたんだと思います。自分も分かってはいたんですが、あのとき、母が『どうする? やってみる?』と言ってくれて、『やる』ってスイッチが入りました。自分でも、いつ、何を食べたらいいかとかを勉強して、母と相談して始めたんです」

高2の秋、母・こず江さんのすすめで始めた肉体改造……小園の体に起きた進化とは? 【写真:山下隼】

 まず取り組んだのは朝ご飯。報徳学園高では朝練があったが、全員出席のとき以外は自由参加。それならば、「朝ご飯をしっかり食べることもトレーニングや」と、朝はグラウンドには行かず、家でじっくりたっぷり朝ご飯を食べることから始めた。

「朝は苦手なので大変でした」というこず江さんだが、早起きをして朝食をたくさん作った。具だくさんの野菜スープ、ビビンバなど、食が進みそうなメニューを並べ、朝からガッツリと。

 おにぎりなどたくさん学校に持参し、授業の休み時間にも食べる。お昼は「食堂のおばちゃんに『少し多くしてー!』とお願いしてオマケをしてもらいながらたくさん食べました」。そして、練習の合間にもタッパ―に詰めたご飯を。帰宅した夜9時ごろに、夕飯をしっかり食べる。

「一気にいっぱい食べるというよりは細かく何食も食べるという感じ。練習後、疲れている夜に食べるっていうのはつらかったけど、自分の体のためだと思って食べていました。朝ご飯に、弁当に、夜ご飯に……母は大変だったと思います」

 こず江さんも「こったものは作れないので、焼くとか、煮るとか、炒めるとか、揚げるとか、“ザ・男メシ”みたいなものばかりでしたけど、バランスよく、量をいっぱい食べられるように工夫していました。ご飯も、炊飯器からガス炊きにしてからは『美味しい!』と食べてくれるようになりました」と話す。

 その生活を始めると、海斗の体は次第に大きくなった。そして、翌春を迎えるころには見違えるほど大きくなっていた。

 それを証明する話がある。
  • 前へ
  • 1
  • 2
  • 次へ

1/2ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント