コパ・アメリカ2019連載

極めてアグレッシブ、しかし近年は陰りも チリ代表分析――現地記者が明かす

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大会3連覇を狙うチリ。最近は勢いに陰りが見えるとはいえ、日本にとって強大な相手であるのは間違いない 【Getty Images】

 6月18日(日本時間)、森保一監督率いる日本代表がコパ・アメリカの初戦に臨む。対戦するのはチリ代表。アレクシス・サンチェス、アルトゥーロ・ビダルというワールドクラスを擁し、2015年大会と翌16年の100周年記念大会を連覇した文字通りの強国だ。「ラ・ロハ」の愛称で知られるディフェンディングチャンピオンは、はたしてどんなチームなのか。母国代表を追い続けている現地ジャーナリストが、その全貌を明かす。

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攻守にわたり極めてアグレッシブなサッカー

 国旗とユニホームの真紅から「ラ・ロハ」(赤)と呼ばれるチリ代表。現在のチームは4−3−3を基本システムとし、攻守にわたり極めてアグレッシブなサッカーを志向する。各選手が連動し、人数をかけて高い位置で強烈なプレスをかけ、ボールを奪ったら即座に(厳密にはボールを奪えそうだと感じた瞬間に)できるだけ多くの選手が攻め上がり、相手ゴールに猛然と襲いかかるのだ。

 こうした戦術をチームに植えつけたのは、07年に監督に就任したアルゼンチンの名将マルセロ・ビエルサ(現在はイングランド2部のリーズ・ユナイテッド監督)だ。ビエルサ率いるチリ代表は、10年ワールドカップ(W杯)南米予選をブラジルに次ぐ2位で突破し、3大会ぶりに出場した本大会ではベスト16と見事な結果を残した。

 ビエルサの退任後、クラウディオ・ボルギ政権を経て12年12月に監督の座に就いたのが、同じアルゼンチン人のホルヘ・サンパオリ(現在はブラジルのサントス監督)だ。サンパオリは自身が信奉するビエルサの路線を踏襲したうえで、攻守両面でプレーのインテンシティをさらに強めた。

 折しもエースストライカーのアレクシス・サンチェス、中盤の要アルトゥーロ・ビダル、守備を統率するセンターバック(CB)のガリー・メデルら「ヘネラシオン・ドラーダ」(黄金世代)と呼ばれる選手たちがキャリアのピークを迎え、14年W杯では前回大会に続いてベスト16、そして15年の自国開催のコパ・アメリカでは悲願の初優勝という快挙を成し遂げた。

 こうして、ビエルサが導入し、サンパオリが進化させたアグレッシブなスタイルは国内メディアと国民から圧倒的に支持され、現在に至るまで「ラ・ロハ」の崇高な指針となっている。
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