鷹詞〜たかことば〜
今宮健太、10年目の大変身で3番定着 バント職人が今季は「0」、野手陣の核に
明らかに強くなったスイング
柳田ら故障者が相次ぐチームの中で攻守でチームを救う今宮(右) 【写真は共同】
ホークスの名手といえば、やはり今宮健太だ。
昨季で途切れてしまったが、2017年までパ・リーグ遊撃手で5年連続ゴールデングラブ賞を獲得した。特に三遊間深くのゴロを華麗にさばいて一塁へ大遠投するシーンは今宮にとって最大の見せ場である。とっさの判断力や身のこなしも球界随一。その姿、まるで忍者のようだ。
5月22日時点で43試合出場、打率3割2分、8本塁打、23打点。4月19日の埼玉西武戦(メットライフ)でプロ初のクリーンアップを任されると、以降ずっと3番打者に定着している。
今宮のバットスイングが変わった。明らかに力強い。当然、打球も速くて遠くに飛ぶ。
「今年は右(方向)を意識していない。しっかりと自分のスイングをした中で飛んでいくのを求めています。今までやっていなかったわけじゃなかった。周りから散々言われてきたし。でも、チキン(小心者の意)なんで(苦笑)」
打撃力の向上は毎シーズン課題に挙げていた。自主トレからキャンプと一生懸命に取り組み、オープン戦では大抵打率3割近く打って結果を残す。しかし、ペナントが開幕すると目の前の結果に必死になる。気づくと、打撃が小さくなってコツコツ当てにいくだけになっていた。
本来は高校通算62HRの二刀流
長打が今季は増加。スラッガーとして名をはせた高校時代をほうふつとさせている 【写真は共同】
「今は右に引っ張るくらいの意識で、とにかく自分の間合いで、スイングを入れるようにしています」
今季の大きな変化はもう一つ。今宮のバントが、シーズン3分の1ほどが経過した今でも「0」のままなのだ。
今宮といえば球界きってのバント名人としても有名だ。13年と14年にそれぞれ62犠打を決めて、パ・リーグのシーズン記録を現在も保持している。ただ、その頃から今宮は「理想はバントをしないこと」と話していた。それはつまり、バントのサインを出されないくらいの打撃力を身につけたいという意欲の表れだった。
守備&犠打職人をあらため、攻守で光り輝くオールラウンドプレイヤーになり今季はホークス野手陣の核となる存在だ。「早くギータ(柳田悠岐)さんが戻ってきてくれないとしんどいですよ」と苦笑いを浮かべるが、今宮がチームの危機を救ってくれたおかげで、ホークスは今年もまた王者の貫録を示して首位を守っている。
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ