鷹詞〜たかことば〜
客席でも速さがわかる甲斐野央の剛速球 夢の166キロ、そして令和初の新人王へ
開幕戦で昨年のMVP山川を3球三振に仕留める衝撃デビューを果たし、その後も鷹のブルペンを支える甲斐野 【写真は共同】
「やっぱり球速に拘りはあります。いつか160キロを出したいし、もっと出るところまで。(日本人最速の)166キロだって」
昨年12月、ドラフト1位ルーキーの甲斐野央は新入団発表を終えた直後、そのように夢を語っていた。大台突破はまだ現実とはなっていないが、活躍度ではすでに十分過ぎるインパクトをファンに与えている。
※リンク先は外部サイトの場合があります
印象を逆手に山川を手玉に
しかし甲斐野はその強打者を、いとも簡単に3球三振で片づけたのだ。なんとフォーク、フォークで簡単に追い込んで、勝負球もストンと落とした。このクレバーとも言える配球には驚いた。甲斐野といえばストレートという印象を逆手にとって、球界屈指のスラッガーを完全に手玉に取ったのである。
「甲斐(拓也)さんのリードを信じて投げただけです。3球目は首を振って、自分で選択しましたけど。悔いなく、その時のベストを尽くしたいという思いだけでマウンドに上がっています」
チームの先輩投手が言う。
「アイツは普段明るくてニコニコしているけど、ブルペンで出番が近づくと人が変わったような表情になる。鬼の形相ですよ」
甲斐野はシーズンを迎えるまでのオープン戦は決して好調ではなかった。防御率8.53。最終登板では頭部死球を与えてしまい危険球退場にもなっていた。
「オープン戦の時、自分の中で準備が甘かったというか、どこか納得をしないまま不安を抱えた状態でマウンドに上がっていたんです。そこをすごく反省しました。登板する時には不安を残してはいけない。1つも、1ミリも。ちゃんとやるべきことやったと言える準備をブルペンでしておかないといけないと思い、シーズンに入ってからはそれを実践するように心がけています」
「抑えればチームは勝てるかも」
幸先よく初登板初勝利をマークすると、デビューからの連続無失点を12試合まで伸ばしている 【写真は共同】
「僕は中継ぎ投手なので自分で点を取ることはできないし、僕が投げただけでチームを勝たせることはできない。でも、ゼロで抑えればチームは勝てるかもしれない。(記録達成の試合が)本当に勝ち試合(3対0で勝利、明石健志のサヨナラ弾)でよかった」
平成ラストに球史に名を刻んだルーキーは令和最初の新人王へひたすら投げる。ホークスに勝利をもたらす快投はもちろん、夢のスピードボールでファンをワクワクさせてくれる毎日が来るのも非常に楽しみだ。
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ