今季のBリーグ、盛り上がりはどうだった? 令和を代表する競技へ、バスケ界の挑戦

大島和人

シーズン序盤の集客は苦戦

アルバルク東京の2連覇で幕を閉じた3季目のBリーグ。盛り上がりはどうだったのだろうか 【(C)B.LEAGUE】

 3季目のBリーグはアルバルク東京の2連覇で幕を閉じた。5月11日に横浜アリーナで開催されたチャンピオンシップファイナルの観客数は12972名。アルバルク東京は千葉ジェッツを71−67で下し、「令和初の王者」となっている。

「Bリーグは盛り上がっているのか?」と疑っている人がいても、ファイナルを見ればスッキリしただろう。応援への参加、プレーへの反応といった熱の高まりも見逃せない。特にアルバルク東京ファンの声量は、Bリーグ開幕当初に比べて段違いのレベルだ。

 しかしこの2018−19シーズンを、バスケ関係者は危機感とともに迎えていた。スタートダッシュも成功とは言い難い状況だった。Bリーグの増田匡彦PRグループシニアマネージャーは振り返る。

「勝負の年だと思ってシーズンに入りました。今はバスケットが盛り上がっていると感じている方も多いと思います。しかし、開幕前は正直『苦しいシーズンになる』という印象もありました」

 実際にB1は第2節から平均2千人台の集客が続いた。今季は代表の強化日程増加などが影響し、レギュラーシーズンのスケジュールが過密になった。60試合中12試合が水曜日開催となったが、平日は土日に比べて集客が15%程度のマイナスとなる。

 さらに琉球ゴールデンキングス、栃木ブレックスなどの人気クラブはアリーナの収容人員が限界に達していた。つまり増やしたくても増やせない状況だ。

 加えて3季目になればリーグの新鮮さが薄れる。お祭り的だったノリも「日常」に移っていく。Bリーグとよく重ねられるJリーグは、3季目で集客に苦戦した。Jリーグは1993年の開幕シーズンに17976人、2季目も19598人の平均観客数を記録している。しかし3季目の95年は16922人となり、以後しばらく減少トレンドに陥った。

「日本代表ブースト」で盛り返す

W杯出場を決め、チームメートとハイタッチするニック・ファジーカス(右)。日本代表の盛り上がりは、Bリーグ観客動員数にも好影響を及ぼした 【写真は共同】

 ただし3季目のBリーグは最終的に盛り返した。B1の1試合平均は3078人で、これは昨対比106%の実績だ。特に川崎ブレイブサンダース、アルバルク東京、三遠ネオフェニックス、富山グラウジーズの伸びが全体を底上げした。3千人を超したクラブも1季目の「6」、2季目の「8」から「10」と増えている。

 チャンピオンシップはファイナルが中立地開催で、他のカードは上位クラブのホームアリーナで開催される。今回はクォーターファイナルからの計15試合がすべて完売。昨季は満員とならないカードが3試合あったことを考えれば、ポストシーズンの盛り上がりは昨季以上だった。一部でアウェーのファンに対する販売方法が議論になったのも、需要が供給を上回ったからだ。

 第3戦は第2戦終了まで開催が確定せず、チケットを売りにくい。施設のキャンセル料など、リスクの大きさも以前は危惧されていた。しかし琉球ゴールデンキングスが主催した第3戦は、平日を含めて2試合とも完売している。

 終盤戦、チャンピオンシップの好調な集客には理由がある。最大の背景は「日本代表ブースト」だ。男子日本代表は2月24日、ワールドカップ2019 アジア地区2次予選のカタール戦に勝利し、本大会出場を決めた。3月31日(日本時間)には国際バスケットボール連盟(FIBA)のセントラルボードで、2020年東京五輪の開催国枠獲得も決まった。

 W杯出場が決まった直後の第25節は、平均3615名と来場者が増加。そこからB1の観客数は水曜開催で平均2918人だった第32節を除き、3千人台を一度も割らなかった。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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