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今季のBリーグ、盛り上がりはどうだった?
令和を代表する競技へ、バスケ界の挑戦

メディアを意識したイベントを展開

Bリーグの広報担当が代表にも関わることで、注目度が高い代表戦で効果的な施策を打ち出すことができている(写真は2018年2月のW杯アジア1次予選チャイニーズ・タイペイ戦のもの)
Bリーグの広報担当が代表にも関わることで、注目度が高い代表戦で効果的な施策を打ち出すことができている(写真は2018年2月のW杯アジア1次予選チャイニーズ・タイペイ戦のもの)【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

 W杯出場による追い風は、幸運な外的要因にも思える。一方で追い風を活用するための努力も見逃せない。それは今季から始まった広報体制の刷新だ。


 増田は説明する。


「われわれBリーグの広報チームは本来協会の広報が担当する日本代表や天皇杯の広報も行なっています。一気通貫の効率的な体制で、さまざまな側面からメディアさんとのコミュニケーションが取れるようになりました。取材数も多くなったと感じます。代表は単発の試合しかないので、(協会の広報は)メディアさんとのリレーションがどうしても少なくなってしまう。僕らはリーグの広報として『実は代表でこういう動きがある』といった情報をインプットしやすい。メディアさんからも『やりやすい』と仰っていただいている」


 代表戦は注目度こそ高いものの、頻度が少ない。また主催者がリーグ、クラブでなく協会だ。バスケは川淵三郎キャプテン(当時)が手腕を発揮した2015年の大改革が奏功し、協会とリーグの風通しが元から良かった。18年の秋からはBリーグの広報担当が代表にも関わり、リーグとの相乗効果を発揮できる体制になった。このような広報の一体化は野球、サッカーにもない仕組みだ。


 それがW杯出場決定後の盛り上がりに波及した。日本が出場を決めた2月24日のカタール戦当日には、東京都江東区のユナイテッド・シネマ豊洲でパブリックビューイングが開催された。深夜にもかかわらず熱心なファンが集まり、日本バスケットボール協会の三屋裕子会長も参加した。


 このパブリックビューイングは興行でなく、プロモーションを目的にしていた。テレビ局、新聞社は試合以外のプラスアルファを素材として欲しがる。具体的には「喜びのコメント」「盛り上がっているファンの様子」などのニーズがある。しかしカタール戦はアウェーで、あまり絵になる環境ではなかった。加えて取材のコストも高く、中東まで取材に来た社は限られた。


 そこでBリーグと協会の合同広報チームはイベントを設定し、メディアに絶好の取材機会を提供した。

さらなる集客に応える施策を

西地区優勝を果たし、チャンピオンシップファイナルでも健闘した琉球ゴールデンキングスは、さらなる集客に応えるべく新アリーナの建設を進めている
西地区優勝を果たし、チャンピオンシップファイナルでも健闘した琉球ゴールデンキングスは、さらなる集客に応えるべく新アリーナの建設を進めている【(C)B.LEAGUE】

 もっともBリーグと代表の挑戦はまだ途上。ファイナルの即日完売は一見すると明るいニュースだが、必要としている人の手元にチケットが行き渡っていないという意味でもある。そもそも1万3千人は、プロ野球やJ1が日々のリーグ戦で難なく集めているレベルだ。


 次の目標は最大席数2万人のさいたまスーパーアリーナを「売り切る」ことだろう。この8月には同会場で日本代表戦が予定されている。W杯に向けた強化試合で、日本から見れば明らかな格上が来日する。それはバスケを支えるプロフェッショナルが「2万人」という強敵に立ち向かうチャレンジの場でもある。


 Bリーグに目を移すと、横浜アリーナやさいたまスーパーアリーナのような規模、アクセスを持つアリーナはない。しかし各クラブのホームアリーナは、これから少しずつ整備が進んでいく。琉球は沖縄市に1万人規模の施設を建設中で、他にも千葉や川崎など複数のクラブが新アリーナの構想を発表している。それらが完成すればBリーグが蓄えている集客力に「器」も追いつくはずだ。


 終盤戦やチャンピオンシップの盛り上がりには広報体制の刷新、メディアとのコミュニケーションに象徴される仕込みがある。ただしこれはゴールでなく、取り組みの本質は数年後、数十年後に向けた投資だ。昭和の野球、平成のサッカーに次ぐ令和を代表するプロスポーツという大志の達成に向けて、Bリーグは好スタートを切った。

大島和人
大島和人

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都町田市に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。バスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、バレーなどの現場にも小まめに足を運び、試合観戦数は毎年300試合を超える。日本を実はサッカーだけでなくバスケ強国であるスペイン、バレー王国・ブラジルのような球技大国にすることが一生の夢で、“球技ライター”を自称している。

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