松田宣浩が「熱男!」と叫び続ける理由 球場の一体感がもたらす効果

田尻耕太郎

球場で体感できる声援の迫力

松田がホームランを放った後に見せる「熱男!」の絶叫パフォーマンスは、いまやヤフオクドームの名物となっている 【写真は共同】

 今年、ヤフオクドームは応援の声量がひと際大きくなった。

 故障者続出ながらも首位を走る福岡ソフトバンクホークス(4月15日現在)。その健闘はもちろんだが、もう一つ理由がある。ヤフオクドームはオフ期間の大規模改修を経て、ついに最大観衆4万人を超えるスタジアムへと変貌を遂げた。拡張されたのは応援団の集まる外野席だ。声援の迫力の違いは、記者席に座り実際に体感してみて明らかだ。
 テレビ中継はもちろん、今はインターネット動画でプロ野球のどんな試合でも存分に楽しめる時代だ。そこに映る選手ひとりひとりの表情から、試合の状況や緊迫感を自宅や外出先でも楽しむことができる。だけど、球場に足を運ばなければ感じ取ることができないのは、やはり「音」だ。大声援はその大事な要素の一つである。

 だから、今やホークス名物となったあの瞬間の、非日常な一体感にいつだって心が熱くなる。

「熱男ー!!」

 松田宣浩だ。ホームランを放った後の絶叫パフォーマンス。もともとはチームスローガンだったが、それが変わってもお構いなしだ。いや、3年前にスローガン変更になったシーズン1号で「ワンダホー!」と決めてみせたが、「やっぱ熱くならないと打てんでしょ!」とシーズン2号からちゃっかり「熱男!」に戻した。

 戻したといえば背番号だ。3年ぶりに「5」を背負っている。「プロ1年目のような気持ちで初心に返って」。だけどやっぱり“雄叫び”を変えることはなかった。

「街を歩いていて、松田と呼ばれるより『熱男の人でしょ』と言われることの方が多い(笑)。根付いてきたのかなと思う。熱男は僕のモチベーションです」

目前に迫る節目の数字

最大観衆4万人超となったヤフオクドーム。松田の節目の記録、通算250本塁打は本拠地で達成できるか 【写真は共同】

 松田といえば豪快な本塁打という印象は強い。しかし、その一方でこう断言する。

「プロに入ってから狙って打ちにいったのって1本もないんです。僕のホームランはヒットの延長。強い打球を打ちにいった結果です」

 野球は個人競技ではない。あくまでフォア・ザ・チームというのが松田の考えだ。

「亜細亜(大学)でキャプテンをやらせてもらっていましたし、それが根っこにあると思います」

 どれだけホームランを打ってもチームが負ければ意味はない。ファンも喜んでくれない。ただ、自分が大きな打球を打つことがチームの勝利につながることも分かっている。

「5月で36歳になるけど、今シーズンはキャリアハイを目指したい。昨年は32本塁打を打ったけれど、(リーグ)優勝を逃したし個人的にも悔しい思いをしたシーズンでした。打率も打点もホームランもキャリアハイ! 2019年は思いっきり暴れたいし、思いっきり野球をしたいです」

 今季は開幕から打撃好調。昨年の打撃内容は引っ張り傾向が強かったが、今年はコースに逆らわず全方向にほぼ均等に飛んでいる。記録ラッシュのシーズンでもある。開幕戦の第1打席で本塁打を放ち通算1500安打、4月5日の千葉ロッテ戦では通算1500試合出場を達成した。

 そして、またもや節目の数字が目前に迫っている。通算250本塁打だ。4月15日時点では残り3本。今季6号のアーチがメモリアル弾となる。ホークスファンのみならず野球ファンには、ぜひ球場スタンドでその瞬間に立ち会ってほしい。とびきり元気ハツラツとした「熱男!」を松田と一緒に叫ぼう。
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著者プロフィール

 1978年8月18日生まれ。熊本県出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。2002年卒業と同時に、オフィシャル球団誌『月刊ホークス』の編集記者に。2004年8月独立。その後もホークスを中心に九州・福岡を拠点に活動し、『週刊ベースボール』(ベースボールマガジン社)『週刊現代』(講談社)『スポルティーバ』(集英社)などのメディア媒体に寄稿するほか、福岡ソフトバンクホークス・オフィシャルメディアともライター契約している。2011年に川崎宗則選手のホークス時代の軌跡をつづった『チェ スト〜Kawasaki Style Best』を出版。また、毎年1月には多くのプロ野球選手、ソフトボールの上野由岐子投手、格闘家、ゴルファーらが参加する自主トレのサポートをライフワークで行っている。

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