ドバイWCデー/ルメール特別インタビュー「アーモンドアイはほぼパーフェクト」
ドバイWCデーに参戦するアーモンドアイ、レイデオロの勝算は? 主戦のルメールに聞いた 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】
「ヴィクトワールピサのドバイWC制覇は本当に嬉しかった」
ルメール騎手(以下、「 」のみ)「ここ20年くらいで世界中に有名になった開催ですね。僕がまだフランスにいる時代から、欧州のホースマンにとっても3月ラストのドバイは重要な位置付けになっていました。ロイヤルアスコットやブリーダーズC、メルボルンCデーや香港国際競走みたいに誰もが参加したい開催です。特にドバイは街全体がきらびやかでまるで大きなディズニーランドみたい。1週間くらいの滞在でレース以外にも楽しめます」
――2006年にはハーツクライでドバイシーマクラシックを制しました。
「そうですね。彼(ハーツクライ)にとって初めて逃げる形だったけど、ハッピーに走ってくれました。あの勝利は僕自身の良いピーアールにもなりました。フランスへ帰ってから騎乗依頼が増えたんです。それだけドバイの開催は注目されているということを実感しましたね」
――他にも印象に残っているドバイのレースはありますか?
「2011年にヴィクトワールピサ(M.デムーロ騎手が騎乗)がドバイワールドCを勝ったのは印象的でした。震災直後の日本に良いニュースになったと思います。オーナーの市川義美さんも個人的に家族ぐるみでお付き合いさせていただいていたので、本当に嬉しかったです」
昨年のシーマクラシックで4着に敗れたレイデオロだが、「昨年のようなことはないと願っています」とルメール(写真は2018年ドバイシーマクラシック) 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】
「テンションが高くてスタートから後ろのポジションになってしまいました。落ち着いていれば日本ダービーの時のように道中で進出できたけど、興奮していたので前進させたらアウトオブコントロールになると思い、スローペースにもかかわらず動けませんでした」
――現地で追い切りにも乗っていましたが、そうなりそうな雰囲気はあったのですか?
「そんな雰囲気はなかったです。追い切りは単走だったのですが、すごくモノ見をしていました。そのくらいリラックスしていました。でも競馬当日は沢山の人の喧騒と、ゲートでも扉を蹴飛ばす馬が2頭くらいいたため、そこで興奮してしまったと思います」
――今年も環境的には同じようになる可能性もあるので心配ですね?
「でも昨年のドバイで掛かったからといって馬の気に任せずに抑えたことで、秋はこちらの指示に従ってくれるようになりました。勝利したオールカマーも天皇賞・秋も、負けたけど有馬記念だってリラックスして走れていました。1つ年齢を重ねていますし、昨年のようなことはないと願っています」
――レイデオロにとってベストの距離は何メートルだと感じていますか?
「2〜3歳時は2000メートルくらいだと感じました。でも昨年あたりからは2400メートルが良くなっています。昨秋に勝った天皇賞は2000メートルだけど、東京コースでペースもキツくなったことで、純粋な2000メートルよりもスタミナが必要になりました。それはレイデオロにとって良かったと思います」
――シーマクラシックはさらに10メートル伸びて2410メートルです(笑)。
「うーん。あと10メートル……。多分大丈夫。行けると思います(笑)」
――相手関係はどう考えておられますか?
「スワーヴリチャードやシュヴァルグランといった日本勢はもちろん怖いです。エイダン(オブライエン調教師)らヨーロッパ勢も当然怖いけど、ドバイではゴドルフィン勢がなんといっても注意が必要です。実際、昨年も勝ちまくりましたからね」
「現時点で心配なことは何もありません」
「もちろんどちらでも良い競馬ができると思います。ただ、彼女にとって今回は休み明けになるので少しショートディスタンスの方が良いのではないでしょうか。休み明けということでエキサイトするかもしれないし、引っ掛かる可能性もある。そういう意味では2400メートルより1800メートルという選択肢もおかしくないと思います」
――久しぶりの実戦というのはやはり不安材料ですか?
「休み明けでどういう走りになるかな?という気持ちはあるけど、心配というほどではありません。彼女にはそれを補って余りある能力がありますからね」
――では、逆に不安材料があるとすればどんな点でしょう?
「ないです(笑)。現時点で心配なことは何もありません」