ドバイWCデー/ルメール特別インタビュー「アーモンドアイはほぼパーフェクト」

JRA-VAN

「アーモンドアイが負けるとしたら……」

JCの超速レコードで世界を驚かせたアーモンドアイ、再び世界のホースマンたちを唸らせることはできるか(写真は昨年のJC) 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

――強いのは誰もが認めるところですが、初めての海外遠征や初のナイター競馬という点も心配ではないですか?

「実際にそういう条件で負けているなら心配になるかも知れません。でも、そうではありませんし、経験がないというだけなので心配しても仕方がない。初めての条件でもベストコンディションでベストパフォーマンスができるように持っていってあげる。あとは信じるだけですね。国枝(栄)調教師を信じ、厩舎スタッフを信じ、馬を信じる。初めての海外も初めてのナイターも大丈夫と信じて手綱を取るだけです」

――ちなみにメンコ(耳覆い)は必要なのでしょうか? 全て外国が良いとは言いませんが、外国のトップホースでメンコを装着している馬はほとんどいませんよね?

「彼女にとってどのくらいの効果があるのかは正直、分かりません。着けないことで能力が半減することは多分ないとは思います。でも実際に現時点で素晴らしいパフォーマンスを見せてくれているのだから、変える必要はないと思います。何も悪いことはないのだからこのままで良いのではないでしょうか」

――では、もしルメール騎手自身が他の馬に乗って、アーモンドアイと対決するとしたらどのような作戦を立てて挑みますか? ディープインパクトに唯一2度先着したルメール騎手ならではの作戦がありますか?

「うーん、それは答えづらいですね……。アーモンドアイを負かすのは簡単ではないと思います。どんなペースにも対応できるので、どの位置でも競馬になる。多分、逃げても強いと思う。こなせる距離にも幅があるし、気性も素直で必要以上にエキサイトすることもありません。ほぼパーフェクトと言っていい馬。負けるとしたら僕がミスした時じゃないでしょうか(笑)」

――ただしあのディープインパクトでも負けるのが競馬であり、海外遠征でもあります。付け入る隙はないですか?

「もちろん、競馬だから何が起こるかは分かりません。馬群に包まれて出られなくなるかもしれないし、スタートで大きく出遅れるかもしれない。とんでもない不利を受ける可能性だってあります。だけど、アーモンドアイが万全の体調であれば、多少の不利は跳ね返せると思います。負けるとしたら彼女自身の状態が本物でないとか、先に言ったように僕がミス騎乗をした時くらいでしょう。そういう意味でも現状は厩舎を信じ、馬を信じるしかないわけです」

「今年の目標は凱旋門賞制覇」

昨年は新記録のJRA215勝を達成するなど大活躍だったルメール、今年の目標は「凱旋門賞制覇です」 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

――最後にご自身のお話も伺わせてください。昨年は215勝のJRA新記録。フランスをベースにしていた時と現在とでは、ご自身のどこが変わったと思われますか?

「経験を積んだ分、当然上手くなっていないといけないわけですが、特に日本での成績に関しては短期免許で来ていた頃と違い、同じ馬に続けて乗れるようになったのが大きいと思います。年に3カ月だけの滞在だとどうしても初騎乗の馬ばかりになる。でも今はずっと乗り続けられることで馬の特徴も把握できるようになりました。それが好成績につながっているのは間違いありません」

――それにしても215勝はすごい記録です。

「そうですね。ユタカさん(武豊騎手)の212勝と言う記録を見た時に『どうやったらそんなに勝てるの?』って驚いたものです。だから自分のことながら『よくそんなに勝てたなぁ』って思います。あまり実感が湧かないというか、不思議な感覚です」

――前年の2017年が199勝でした。

「はい。だから去年は200勝を達成したいと思いました。でも新記録を意識したのは12月に入ってからでした。思った以上に早く200勝を達成できたことでユタカさんの記録を意識するようになりました。それからはプレッシャーもあったけど、日本の皆さんはもちろん、フランスのメディアでも取り上げてもらえて周囲のサポートも絶大だったので、心地よいプレッシャーという感じでした。結果的に新記録を達成できたことはとてもハッピーでしたね」

――今年はさらなる記録更新が目標ですか?

「それができればすごいですけど、ターゲットとしてはやはり凱旋門賞制覇です。フランスで生まれ育った僕にとって、凱旋門賞は本当に特別なレースです。是非勝ちたいレースです。今年はアーモンドアイとのコンビで挑めそうなのでワクワクしています」

――それでは日本のファンの皆様にドバイへ臨む意気込みをお聞かせください。


「アーモンドアイもレイデオロも、ビッグチャンスがあると信じています。だから僕自身、今はドバイ遠征が本当に楽しみです。あとは日本のファンの皆さんの声援が僕や陣営の力にもなりますので、応援よろしくお願いします!」

取材・文:平松さとし
撮影協力:smart center 京都, the garden カフェ「.S」

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