美しい景色と途切れない応援! 「高知龍馬マラソン2019」の魅力を体感

三河賢文

【写真提供:三河賢文】

アップダウンの多いコースと、そこで見える素敵な景色

【写真提供:三河賢文】

 坂本龍馬が生まれ育ったとして知られる高知県で、2月17日(日)に「高知龍馬マラソン2019」が開催されました。参加者数は1万人にのぼり、地元のみならず県外からのリピーターも多い本大会。その魅力を知るべく、実際に大会を走ってきました。自然あふれるコースからの景色や、エイドで振舞われるご当地の食べ物など。出走レポートをお届けしますので、ぜひご覧ください。

 本大会はスタートとゴールの地点が異なります。スタート地点は高知県庁前。高知駅からのアクセスが良く、宿泊施設も周辺に点在しているエリアです。これに対して、ゴールは太平洋側に南下した位置にある春野総合運動公園となります。

 大会当日は天候に恵まれ、頭上には青空が。朝は少し寒いくらいでしたが、日中は半袖でも暑いほどの気候になりました。予想外の暑さに、苦戦した方は多かったかもしれません。

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 本大会の大きな特徴と言えるのが、直線が多いこと。スタート後から、いきなりずっと真っすぐな道を進みます。急なカーブや折り返しでは失速が生じるため、これも走りやすさを感じられるポイントです。最初に曲がったのは約9kmの地点。ここから南下し、太平洋沿いへと向かっていきます。

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 コースは基本的に、ずっと細かくアップダウンしていた印象。いくつかトンネルも通りました。平坦なコースと違ってアップダウンでは異なる筋肉が使われるので、むしろ一部に疲労が蓄積するということは避けられた気がします。

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 コース最難関の上り坂は、ちょうど半分を迎える約20km地点で訪れます。それが、こちらの「浦戸大橋」です。最高地点の高さは約50mですが、これを200mほどで一気に登りました。すでにハーフマラソンに近い距離を走った段階ということで、苦しそうな表情を浮かべる選手は少なくありません。たまらず歩いてしまった……という方も多かったことでしょう。しかしこの坂道を登り切ると、この大会随一とも言える絶景スポットが待っていました。

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 下り始めてほどなくすると、目の前に現れたのが太平洋です。どこまでも続く広い海が見えれば、もう残りは半分。周囲のランナーから「おぉー、キレイ」という声が聞こえてきましたが、そう言ってしまうほど、その景色は雄大で素晴らしいものでした。

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 浦戸大橋を降りると、再び長い長い直線が。8kmほどの距離を、左手に土佐湾を眺めながら真っすぐに進んでいきます。序盤の高知市街と違って周囲に建物など少なく、特に下り坂では遠く前方を走るランナーが見えるほど。どこまで続くか分からない直線に「長くてキツい」と感じてしまえば、レース後半戦は苦しい戦いになったかもしれません。

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 本大会では一箇所だけ、約32kmで折り返し地点があります。そのため25kmを過ぎた当たりから、しばらく他選手とすれ違いながら走れました。トップ選手の力強い走りを見たり、知り合いのランナーを見つけて檄を飛ばし合ったり。後半の辛い局面だからこそ、良い気分転換になってモチベーションに繋がった気がします。

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 折り返し地点を越えれば、残りは約10km。いわゆる「30kmの壁」が訪れるタイミングではありますが、同時にゴールが近づいていることを実感できます。

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 なお、本大会では30分毎にペースメーカーが設けられていたようで、折りを返し後にサブ3.5〜4.5のペースメーカーとすれ違いました。周辺には各タイムを切ろうと懸命に走るランナーが集団を形成。その姿に、「自分も頑張るぞ」と気合いが入ります。

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 約37.5kmで土佐湾沿いから内陸に入ると、目の前に連なる山、そして周囲には田畑が見られます。ここまで来れば、あとはゴールを目指すだけ。やや道は狭いですが、キレイに舗装されて走りやすい道路です。

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 そしてラスト1km、ゴール地点の「春野総合運動公園」入口が見えました。なお、コース上には1km毎に距離表示が、ラスト5kmからは1km毎のカウントダウン表示が設けられています。

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 しかし実は、このラスト1kmがなかなかの難関。ゴールは公園内にある陸上競技場ですが、これが高さ35m弱の場所にあるのです。これを一気に登り切るのは、力を出し尽くして41km走ってきたランナーにとって容易ではありません。もしかしたら疲労度も相まって、浦戸大橋を越える難関に感じられた方もいたのではないでしょうか。

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 なんとか登り切り、ゴールの競技場へやってきました。最後にタータンの敷かれた競技場を走る大会は、いつも以上にテンションが上がります。この辺では、ラストスパートをかけた選手も多かったはず。私も「遂にゴールだ」という気持ちの高まりから、自然とペースが上がっていました。

【写真提供:三河賢文】

 大きなゴールゲートの間では、スタッフの方がゴールテープを持って待っています。さらにオーロラビジョンには、競技場内に入ってきたランナーの姿が映し出されていました。42.195kmという道のりで見た景色が思い浮かび、そして辛さや楽しさが胸にこみ上げます。
 ゴール後は完走メダルを受け取り、完走証もすぐに発行されます。ちなみに、メダルは木で作られていました。金属とは違って、なんとなく特別感がある気がするのは、私だけではないでしょう。走り切った証を首から下げ、完走証を手に記念写真を撮るランナーの姿がたくさんありました。

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著者プロフィール

中学生の頃から陸上競技を始め、大学では十種競技選手として活動。引退後、約7年のブランクを経て2011年6月よりランニングを開始。同年にハーフマラソン、フルマラソン、翌年には100kmのウルトラマラソンやトライアスロン(オリンピック・ディスタンス)も完走。沖縄本島1周マラソンなどを始め、今では“超長距離”レースにも数多く出場している。また“トウモロコシ”や“アザラシ帽子“をトレードマークに、仮装マラソンも楽しむ。ランニングブログも不定期更新中。趣味と過去の経験を活かし、現在は東京都葛飾区内にある中学校の陸上部にて、外部コーチとして指導も行っている

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