“走らない運動”で強くなる! 『クロストレーニング』のススメ

三河賢文

【写真提供:三河賢文】

走る以外のスポーツをすることが、結果として走力アップに

 ランナーの中には、月間走行距離をトレーニングの目安や目標にしている方が多いでしょう。私の周囲でも、月末になると「今月は○○km走った」といった声がよく聞こえてきます。そのため日々のトレーニングも、“走る”ことばかりに集中しているのではないでしょうか。

 確かにマラソンで速くなるには、走るトレーニングが欠かせません。しかし、まるでそれが義務であるかのように、必ずしも毎日走ることは不要です。むしろ休息日を設けたり、あるいは走る以外のスポーツを行ったりすることが、結果として走力アップに繋がることも。そのように、他種目の運動を取り入れることを『クロストレーニング』と呼びます。今回はそんなクロストレーニングについて、その意味や期待できる効果、具体的な種目などについてご紹介しましょう。

クロストレーニングの目的と効果

【写真提供:三河賢文】

 クロストレーニングとは1つの種目にとらわれず、複数種目の運動を行うこと。例えばランナーだからといって毎日走るのではなく、後でご紹介するように“走らない運動”を日々のトレーニングに取り入れます。
 ランニングは全身を使った運動ですが、やはり鍛えられる筋肉・機能などに偏りがあります。また、筋力や骨格など、人には多少なりバランスの悪い部分があるもの。特に正しいランニングフォームが身についていない方はその偏りが顕著で、そのうえで“走る”という運動ばかりを繰り返していると、どんどん偏りが大きくなってしまいます。

 例えば左足の筋力が強く、いつもそちら側にばかり頼って走っていると、いつの間にか身体全体が左に傾いた状態になってしまう……という具合。これはパフォーマンスを低下させるだけでなく、怪我のリスクも高めます。

 そこでクロストレーニングを取り入れ、身体にランニングとは違った刺激を与えましょう。ランニング時にはあまり使えていない部位の筋力を強化したり、左右の筋力・機能バランスを整えたり。もちろん最終的には“走る”運動でその筋力・機能を使いこなすことが必要ですが、より速く走るうえでの土台となってくれます。また、たまにランニング以外の運動を行うと、気持ちのうえで良いリフレッシュにもなるでしょう。

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著者プロフィール

中学生の頃から陸上競技を始め、大学では十種競技選手として活動。引退後、約7年のブランクを経て2011年6月よりランニングを開始。同年にハーフマラソン、フルマラソン、翌年には100kmのウルトラマラソンやトライアスロン(オリンピック・ディスタンス)も完走。沖縄本島1周マラソンなどを始め、今では“超長距離”レースにも数多く出場している。また“トウモロコシ”や“アザラシ帽子“をトレードマークに、仮装マラソンも楽しむ。ランニングブログも不定期更新中。趣味と過去の経験を活かし、現在は東京都葛飾区内にある中学校の陸上部にて、外部コーチとして指導も行っている

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