一緒に走れる仲間を探そう! 自分に合ったランニングチームの選び方

三河賢文

【写真提供:三河賢文】

 ランニングに取り組みながら、「仲間が欲しい」と考えたことのあるランナーは多いでしょう。もちろん、走ることは一人でもできます。しかしスランプや悩みを抱えているときに支えあったり、切磋琢磨しながらいつも以上に追い込んだり、仲間がいなければ得られないメリットは少なくありません。私も基本的にはいつも一人で走っていますが、ときに仲間を誘って走りに出かけます。特にスピード練習でしっかり追い込みたい、あるいは長い距離を飽きずに走りたいといった際、仲間の存在はとても有難いものです。

 仲間を探すためには、ランニングチームに入るという方法が挙げられます。しかしランニングチームも多様で、どこでも良いというものではありません。せっかく入っても上手く馴染めなかったり、すぐに幽霊部員化してしまったりする可能性があるでしょう。そうならないよう、自分に合ったランニングチームを選ぶことが大切です。

 私は自身でもランニングチームを運営するほか、これまで全国各地のチームを取材してきました。ときに一緒に走ったり、指導を担当させていただいたりしたことも。ここではその経験を踏まえ、自分に合ったランニングチームの選び方についてポイントをお伝えします。さらに充実したランニングライフを送れるよう、ぜひ参考にご覧ください。

ランニングに対する志向

【写真提供:三河賢文】

 まず大切なのが、ランニングに対してどのように取り組んでいきたいのかという志向性です。具体的には、趣味として楽しんでいきたいのか、競技者としてレベルアップを目指したいのか。現在思い浮かんでいる「こうやって走っていきたい」という考えを、改めて確認してみてください。
 後者であれば、練習会で競いながらキツいトレーニングを行い、各メンバーが高い目標を持って取り組んでいる環境が良いでしょう。しかし前者の場合、そうした環境では疲れてしまいます。それより、例えば週末に集まって観光ランを楽しんだり、ランニング後のお酒を楽しみに走ったりする方が合うはずです。

チームメンバーとの人間関係

 ランニングチームは人の集まりです。ランニングに対する志向性が合っていても、人間関係に悩まされるケースがあるかもしれません。長く継続しているチームであれば、性格なども合うメンバー同士が集まってきます。その環境に自分が合わなければ、かえって仲間と走ることが苦しくなってしまうでしょう。

 多くのランニングチームでは、練習会などへの体験参加を受け入れています。いきなり入るのではなく、まずはそうした場を活用して雰囲気を確認しましょう。体験では知らない人ばかりなので、委縮してしまうかもしれません。しかしできればメンバーと会話し、人と人との関係で合うかどうかを見極めることが大切です。

練習する場所と日程

【写真提供:三河賢文】

 ランニングチームを探す場合、多くの方が自宅や職場の近くで活動しているチームを選ぶでしょう。継続して参加するために、これはとても大切です。ただし「通える範囲」というものは、人によって異なるでしょう。徒歩、自転車、電車、バス、自家用車と、使える移動手段によっても違いが出てきます。

 例えば10km程度の距離なら、歩けなくても自家用車があればあっという間。そのため、ただ近くで探すのではなく、移動手段を踏まえて「どの範囲まで行けるか」を決めましょう。満足度の高い充実した時間を過ごせるのであれば、多少の移動は苦になりません。人間関係と同様、実際に行ってみて体験し、通えるかどうか検討することをおススメします。
 もちろん場所だけでなく、練習会などが開催される日程も重要です。どんなに素晴らしいチームでも、入っただけで参加できなければ意味がありません。仕事終わりの時間や休日を照らし合わせ、継続して参加できるかどうか確認してください。例えば休日が不定期な方であれば、土日開催より平日夜開催の方が合っているかもしれません。

具体的な取り組み内容

【写真提供:三河賢文】

 ランニングチームと言っても、その活動内容は実に多様です。固定した曜日に定期的な練習会を行っているチームがあれば、不定期に予定を組んで練習しているケースもあるでしょう。あるいは練習会など行わず、SNS等でのコミュニケーションを中心に活動している場合もあります。
 例えば「一緒に練習したい」と思ってチームに入ったのに、蓋を開けたらほとんど練習が行われていないのでは意味がありません。逆に練習は自分でできるから、オンラインでもコミュニケーションの取れる仲間が欲しいという方もいるでしょう。

 あるいは練習でも、ただ全員で一緒に走ることもあれば、コーチが在籍していて指導を受けられることもあります。走力アップを本気で目指すなら、ちゃんとした指導の下で取り組めた方が良いかもしれません。自分自身がチームに求めるものを整理し、それが実際にチームで行われているのかを確認してください。

有料か無料か

【写真提供:三河賢文】

 ランニングチームには無料で誰でも参加できるものと、お金を支払って参加するものがあります。お金を払う場合、具体的には以下のような費用が発生するでしょう。

・入会料
・月会費/年会費
・練習会の参加費 など

 特に指導型の練習会を開催しているチームでは、有料となっていることが多いようです。もちろんその分、走力アップやランニングフォームの改善など、得られるものは多いでしょう。しかし、ただ仲間が欲しいと考えるのであれば、「お金を払ってまでは……」と考えてしまうかもしれません。有料か無料かは、自分がチームに対して何を求め、チームに入ることで何を得られるのかを基準に選ぶことをおススメします。

【写真提供:三河賢文】

 無料のチームは門戸が広く、参加するハードルが低く感じられるはずです。しかしその一方、「誰でも参加できる」ということがマイナスに働くケースも少なくありません。入ったものの活動しない幽霊部員が多かったり、チームの雰囲気に合わない人がどんどん入ってきたり。こうした背景から、以前まで無料だったチームが年会費を徴収するようにしたという話も少なくありません。無料の場合には、より注意深くチームの雰囲気や人間関係などを見極める必要があるでしょう。

 なお、参加に当たって費用が発生しない場合でも、後から費用が必要になることもあります。例えばメンバーでお揃いのTシャツを揃えたり、練習場所がいつも有料施設だったり。もちろん任意ですが、仲間として取り組むうえでは避けられない出費もあるでしょう。可能であれば、事前に確認しておくとトラブルになりません。
 一緒に大会へ出場したり、リレーマラソンでチームを組んだり。仲間がいるからこそ実現するランニングの楽しみ方もあります。また「なんとなくやる気が出ない」なんていうときでも、仲間からの誘いでモチベーションが上がることだってあるはずです。良い仲間と出会い、ランニングをもっと楽しむために、自分に合ったチームを探してみてはいかがでしょうか。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

中学生の頃から陸上競技を始め、大学では十種競技選手として活動。引退後、約7年のブランクを経て2011年6月よりランニングを開始。同年にハーフマラソン、フルマラソン、翌年には100kmのウルトラマラソンやトライアスロン(オリンピック・ディスタンス)も完走。沖縄本島1周マラソンなどを始め、今では“超長距離”レースにも数多く出場している。また“トウモロコシ”や“アザラシ帽子“をトレードマークに、仮装マラソンも楽しむ。ランニングブログも不定期更新中。趣味と過去の経験を活かし、現在は東京都葛飾区内にある中学校の陸上部にて、外部コーチとして指導も行っている

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント