笑顔になれる大会「愛媛マラソン」人気の秘密 おもてなし、ご当地グルメも凄いぞッ!

三河賢文

【写真提供:三河賢文】

 先日、愛媛県松山市で「第57回 愛媛マラソン」が開催されました。シリアスランナーからファンランナーまで人気が高く、毎年抽選となっている同大会。実際のコースや目にする光景などについて、実走によるレポートをお届けします。

受付会場の様子、給水・給食の展示が面白い

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 大会受付は前日・当日どちらでも可能。大会会場とは異なり、南海放送本町会館で行われます。ただし、大会会場からも近い位置にあるため、当日でも面倒ではありません。私は前日のうちに済ませましたが、当日朝も受付に立ち寄ってから、大会会場へと向かう方が多く見られました。

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 今年から導入されたのが、こちらのリストバンド。受付後にスタッフの方が巻いてくれました。当日、このリストバンドを装着していないと、スタートブロックに入れません。私は腕が細いため端部分がかなり余り、走るのに邪魔なのでハサミでカットしました。
 面白いのは、実際にコース上で提供される給水・給食が展示されていたこと。こうして現物を見ると、どんなものがあるのかイメージしやすいでしょう。「これだけあれば水分は持たなくても大丈夫か」「ちょっと前半にエネルギーが少ないかな」と、戦略を練るのに一役買ってくれます。

難関は名物「平田の坂」!

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 そして当日。スタート前のセレモニーではゲストから激励の声が送られ、少しずつランナーの気持ちが高ぶっていきます。天気に恵まれた絶好のマラソン日和。会場は松山城の麓にあり、見上げると山の上に松山城が見えました。

 そして、いよいよレースがスタート!愛媛県庁の前から、続々とランナーが走り始めます。なお、ランナーは事前の申告タイム順に分けられたブロック毎に整列。スタートの号砲から列が動き始め、Bブロックの私は2分ほどでスタートゲートを通りました。日差しが当たると暖かいのですが、スタート地点はビルの陰で冷え込んでいます。それでは、実際に走ったコースを詳しくご紹介しましょう。

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 城山公園をぐるりと回り、まずは松山市街を走ります。周囲にはビルやマンションなどがあり、道幅は広く走りやすいコースです。スタート直後は大勢のランナーで混雑していますが、1kmも走ると自分のペースで走れました。

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 愛媛マラソンの攻略ポイントと言えるのが、難所である「平田の坂」。約7kmで訪れ、一気に約50mの高さまで登ります。まだ序盤のため力が余っているものの、ここで頑張り過ぎると後半の失速に繋がるかしれません。

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 コース上には2つトンネルも通ります。ただ、中は明るく道もキレイなので、走りにくさはありませんでした。

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 トンネルを抜けると、横目に瀬戸内海が見えました。眼前に開けているわけではないので、気付かずスルーしてしまったランナーも多かったかもしれません。青々と輝く瀬戸内海はとても美しく、せっかくなら是非とも見ておきたいポイントと言えるでしょう。

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 レース中盤の北条エリアでは、何やら柑橘類の木が。柑橘王国・愛媛ならではと言える光景です。周囲には高い建物などなく、序盤の松山市街とは違う落ち着いた雰囲気が感じられます。頭上に広がる青空がなんとも心地よく、清々しい気分で走れるエリアでした。

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 コースは25km手前で折り返し点が現れると、それ以降は来た道を戻っていきます。「あとは戻るだけ」と考えられると、後半が楽になるかもしれません。私の周囲では、折り返し点のコーンにタッチして気合を入れ直すランナーが多く見られました。

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 折り返し型コースの良さと言えば、こうして他ランナーとすれ違えること。後半は、しばらく多くのランナーが反対車線を走っている光景が続きます。チームメイトや知り合いを見つけ、「ファイト―!」など檄を飛ばし合う方もたくさん。私も何人か知り合いのランナーを見かけ、写真を撮ったり声掛けさせてもらったりしました。もちろん周囲に気を付けつつ「誰かいないかな」と探しながら走っていると、苦しさが吹き飛んでいつの間にか数km進んでいます。

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 そして35kmを過ぎた頃、再びランナーの前に立ちふさがるのが「平田の坂」。往路とは異なり、かなり疲労の蓄積した終盤では、まるで高い壁のようにすら感じられます。傾斜そのものは激しい急坂というほどではないのですが、それでも歩いてしまったランナーは多かったでしょう。まさに、最後の難関と呼べるポイントです。

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「平田の坂」を登り切れば下り坂に切り替わり、やがて松山市街へと戻ってきます。ビルなどが増えると、なんとなく「もうすぐゴールだ」と気持ちがゴールモードに切り替わってくるようでした。なお、コース上には1km毎に距離表示が設けられていますが、ラスト5kmからはカウントダウン式の表示も掲げられます。

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 やがて、コース横に緑の生い茂る公園が。こちらは、ゴールである城山公園です。この辺りからはラストスパートをかけるランナーも多く、いよいよ愛媛マラソンも終わりが近づいてきました。そして……

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 城山公園に入ると、ほどなくしてフィニッシュゲートが! 疲労困憊で苦しそうな方、達成感からか満面の笑みを浮かべる方など、皆さんの表情からそれぞれのドラマが感じられます。目の前を走っていた方は、思い切りガッツポーツして力強くゴールしていました。
 コース全体は細かにアップダウンが多いものの、その起伏が程よい変化にも感じられます。それほど急な坂があるわけでもなく、タイムを狙うにも良いコースではないでしょうか。実際に走る道路はとても綺麗に舗装されていて幅広く、段差にはちゃんと敷物をして、ランナーが躓かないような工夫も見られました。

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著者プロフィール

中学生の頃から陸上競技を始め、大学では十種競技選手として活動。引退後、約7年のブランクを経て2011年6月よりランニングを開始。同年にハーフマラソン、フルマラソン、翌年には100kmのウルトラマラソンやトライアスロン(オリンピック・ディスタンス)も完走。沖縄本島1周マラソンなどを始め、今では“超長距離”レースにも数多く出場している。また“トウモロコシ”や“アザラシ帽子“をトレードマークに、仮装マラソンも楽しむ。ランニングブログも不定期更新中。趣味と過去の経験を活かし、現在は東京都葛飾区内にある中学校の陸上部にて、外部コーチとして指導も行っている

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