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スポナビのデータが解き明かす「新ファンセグメント」と「未来のスポーツメディア」
Bリーグの増田氏(写真)とともに、スポナビのデータが解き明かすスポーツ界の未来を考えていく
Bリーグの増田氏(写真)とともに、スポナビのデータが解き明かすスポーツ界の未来を考えていく【スポーツナビ】

 平成は間もなく終わるが、この30年間で大きく変化したのがメディアの有りようだ。従来の手法が通用しなくなった一方で、われわれの前にはITの活用による大きな可能性が開けている。データの収集、分析、活用を的確に行えば、そのメディアは大きく発展するだろう。


 1月26日に開催される「スポーツアナリティクスジャパン(SAJ)2019」では、スポーツナビを運用するワイズ・スポーツの小用圭一取締役COOとBリーグの増田匡彦PRグループシニアマネージャーが「スポナビのデータが解き明かす『新ファンセグメント』と『未来のスポーツメディア』」というテーマで登壇する。今回は“予告編”として、2人が考えるスポーツの現在と未来を語ってもらった。

劇的に変化した情報の入手経路

スマートフォンの登場で情報の入手経路が多様化した
スマートフォンの登場で情報の入手経路が多様化した【スポーツナビ】

 スマートフォンの登場で、メディアを取り巻く状況は劇的に変化した。以前は情報の入手方法が限定されていて、人々は受け身だった。しかし現在はそれが飽和し、メディアが発信するだけでは伝わらない時代になっている。


 情報の入手経路が多様化し、テレビや新聞の受け手への支配力は弱まった。未成年も含めた若年層はスマホネイティブで、オールドメディアにあまり目を向けない。LINEなどを通して情報、動画を共有し仲間内で盛り上がる傾向も強い。例えば野球系YouTuberは、野球少年にとってプロと同等以上のヒーローだ。有名野球選手が、オールドメディアを介してでは届けることのできない潜在ファン層である野球少年たち。そこにアプローチするほどの存在感をYouTuberは持っている。


 加えて現在はユーザーが「見たいものを見たいときに見る」時代になった。かつてはテレビを通して「サッカー好きが水泳の結果も自然と見る」という流れがあった。しかし今は野球ファン、サッカーファンがそれぞれ競技ごとに“タコつぼ化”している傾向が強い。


 増田はこう悩みを口にする。


「新しいスポーツがどうやってメディアに出ていくかは大きな課題です。スポーツの露出のパイが決まっているので、バスケットボールがそれを取ろうと思っても簡単には取れない。あんなにいい試合をした天皇杯も、思ったより取り上げてもらえませんでした。Twitterのトレンドは『千葉ジェッツ』が7位くらいまで上がって、結構バズったなと思っても、野球・サッカーと比べればまだまだ」


 スポーツナビでは他のメディアから提供されたものも含めて、記事をユーザーへ“届ける”役割を担っている。月間平均のPV(閲覧数)は約46億という国内で最大規模のスポーツメディアだが、現状を「よし」とはしていない。


 小用は「スポナビがお客さんに対して一方的に配信していく今のスタイルはどんどん廃れていく」という認識を口にする。

エンゲージメントが高い「地元愛セグメント」

スポナビユーザーで「地元愛」を観戦の理由にしている人は、一番エンゲージメントが高い
スポナビユーザーで「地元愛」を観戦の理由にしている人は、一番エンゲージメントが高い【スポーツナビ】

 スポナビはデータを手掛かりに、次の一手を模索している。データ収集、分析の一例を挙げよう。スポーツファンをより細かいセグメントに分けると「地元愛」を観戦の理由にしている人が多い。しかも「地元愛セグメント」の読者はスポナビの読者として、一番エンゲージメントが高い。分かりやすく言うとサイトの滞在時間が長い、熱心なファンということだ。


 地元愛とスポーツ観戦が結びついている典型的な地域は広島だ。プロ野球・広島カープのファン、Jリーグ・サンフレッチェ広島、Bリーグ・広島ドラゴンフライズは“相乗りファン”が多い。単にその競技が好きという以上に、広島のチームを応援するという意志があるのだろう。


 これを一般化して考えれば、地元愛が強い人に競技やチームとの接点を作ってあげれば、いいマッチングになる可能性が高いということだ。


 実際に広島カープとB2の広島ドラゴンフライズは、タイアップ企画を行って好評だった。他にも札幌、仙台などで野球ファンに向けた集客が行われている。野球とJリーグはシーズンがほぼ重なるが、Bリーグならばシーズンがずれている。シーズンオフはシーズン中に比べて、野球の球団職員も比較的動きやすい。


 プロ野球側はファンクラブの解約を防ぐため、シーズンオフ用の特典を作りたい。Bリーグのクラブは、新規のファンを獲得したい。つまり「野球のファンクラブ会員向けに、バスケのチケットを割引販売する」というアクションは双方にメリットがある。


 バスケはまだまだエンターテインメントとして開拓の余地が大きい。例えばこの競技を「やるスポーツ」として考えれば、男女合わせて60万人の競技者を擁するメジャースポーツだ。一方で競技者、経験者のセグメントを観客としてまだ十分に取り込めていない現状がある。


 小用は「経験者は近親者を巻き込んでくれるので獲得するべきファン層」と指摘する。経験者のセグメントを巻き込むために「地元愛」「同世代、同地域出身選手への興味」など、他の要素と有機的に絡められれば、彼らを観戦に誘い込むきっかけを作れるだろう。

大島和人
大島和人

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都町田市に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。バスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、バレーなどの現場にも小まめに足を運び、試合観戦数は毎年300試合を超える。日本を実はサッカーだけでなくバスケ強国であるスペイン、バレー王国・ブラジルのような球技大国にすることが一生の夢で、“球技ライター”を自称している。

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