連載:輝く舞台をつくる「影の立役者」

阪神園芸の“神整備”に迫る 甲子園100回目の夏を支えた裏方の仕事

和田拓也
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阪神園芸株式会社への取材は、甲子園球場で行われた 【写真提供:阪神甲子園球場】

 アスリートたちが輝く数々の大舞台。歴史的な記録誕生の瞬間や、心を揺さぶる名場面の裏には、それらを支える“影の立役者”の存在があった。当連載は、これまであまり語られてこなかった彼らの戦いに迫る。

 第2回は阪神園芸株式会社。あの甲子園球場のグラウンド整備を手がけており、その美しく緻密な仕事ぶりは“神整備”と評されるほど。しかし実際には、工程の多くが天候に左右される過酷な仕事だ。阪神園芸には、高校球児の夢の舞台をつくり上げるべく奔走する、影の立役者がいた。

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阪神園芸株式会社 スポーツ施設本部 甲子園施設部長の金沢健児さん 【撮影:牛久保賢二】

 語りつくせないほどの熱戦が繰り広げられてきた、夏の高校野球。日本野球界を代表する数々の名選手が、甲子園から飛び立っていった。

 その高校野球は昨年の夏に100回記念大会を迎えた。地元関西の常勝校であり今大会の優勝校でもある大阪桐蔭高校と、秋田県勢として103年ぶりの準優勝が大きな話題となった金足農業高校による白熱の決勝戦を覚えている人も多いだろう。

 そんな第100回大会にふさわしい熱狂の舞台となった阪神甲子園球場は、直前、記録的な豪雨に見舞われた。無事に開幕を迎えられるか危ぶまれていた中で、100回目の夏と球児たちを迎えたのは、青々とした芝生が生い茂った、「過去最高」といわれる美しいグラウンドだった。

 高校球児が夢見て、試合後には土を持ち帰る甲子園球場。その「聖地」のグラウンド作りを一手に担うのが、近年“神整備”と呼ばれ、注目を集める阪神園芸だ。

 あの夢の舞台は、一体どのようにしてつくられているのだろうか。今回は、阪神園芸に20歳で入社以降、30年間甲子園球場のグラウンドづくりに携わってきた、グラウンドキーパーの金沢健児さんに話を伺った。
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著者プロフィール

カルチャーメディアを中心に執筆・編集・撮影を行う、ライター・編集者。ひとを前進させるカルチャーの根っこと端っこを探しています。ドキュメンタリーの映像制作やサッカーメディア「DEAR Magazine」の運営も行う。

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