連載:輝く舞台をつくる「影の立役者」

歴史的な記録や、名場面の影にあったもの 職人たちが語る「舞台裏の戦い」

和田拓也

埼玉スタジアム2002。一面に広がる美しい芝は、グラウンズマンたちによってつくられる 【撮影:黒羽政士】

 2020年の東京オリンピックまで、いよいよ1年余りとなった。期間中は、オリ・パラ計55競技が開催される予定だ。

 オリンピックに限らず、スポーツ競技における主役は、試合を繰り広げる選手たちだと言えるだろう。しかし、スポーツにおいて生まれる記録や名場面、そして見ている私たちを巻き込む熱狂の渦は、選手のみによって生まれるものではない。彼らを導く監督・コーチ陣。会場に集まる観客。あるいはテレビやインターネットで中継を視聴するたくさんの人たち。そして何より、競技会場をつくり上げる人たちの存在があってこそのものだ。

 東京オリンピックに向けスポーツに注目が集まっている今、これまでとは少し違った角度で、スポーツの魅力を紹介したい。競技会場をつくり上げる人たちにインタビューを行い、日頃テレビには映らないが、影で繰り広げられている戦いについて伺ってきた。

東京辰巳国際水泳場。あの北島康介が引退を決めた同水泳場でも、知られざる戦いがあった 【撮影:黒羽政士】

 数々の名スイマーを育んできた東京辰巳国際水泳場に始まり、阪神甲子園球場での“神整備”が野球ファンに人気の阪神園芸株式会社、桜花賞をはじめGIレースが多数開催される阪神競馬場、サッカー専用スタジアムとして国内最大の観客席数を誇る埼玉スタジアム2002、相撲の地方巡業における土俵づくりではシェア7割を占める株式会社ムーヴと続く。

30人以上とともに行われる土俵づくりでは、いかにマネジメントするかが鍵を握るという 【写真提供:ムーヴ】

 プール、野球場、馬場(コース)、サッカーグラウンド、そして相撲の土俵。いずれも天候や温湿度などの外部要因に大きく左右されながら、試合に向け常に万全の競技場を用意しなければならない。そんな戦いを日々続けている彼らは、まさにスポーツにおける「影の立役者」だ。選手の安全を第一に考えながらも、それぞれに流儀を持ち、職人技とも呼べる独自の技術を磨いてきた。

 この特集を読んだ後には、きっとスポーツが今までと違って見えるはずだ。

(企画構成:プレスラボ)

配信スケジュール(スポーツナビ公式アプリ)

第1回【東京辰巳国際水泳場】配信中
辰巳がスイマーの聖地と呼ばれる理由とは
“北島康介の次の時代”を支える仕事

第2回【阪神園芸株式会社】配信中
阪神園芸の“神整備”に迫る
甲子園100回目の夏を支えた裏方の仕事

第3回【阪神競馬場】配信中
阪神競馬場 馬場づくりの裏側
GIレースを支える造園課の仕事

第4回【埼玉スタジアム2002】配信中
埼玉スタジアムの芝づくりの流儀とは
熱狂を支えるグラウンズマンの仕事

第5回【株式会社ムーヴ】配信中
国技を支えるプレッシャーとの戦い
全国に土俵をつくり続ける職人の仕事
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著者プロフィール

カルチャーメディアを中心に執筆・編集・撮影を行う、ライター・編集者。ひとを前進させるカルチャーの根っこと端っこを探しています。ドキュメンタリーの映像制作やサッカーメディア「DEAR Magazine」の運営も行う。

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