「太陽のエース」棚橋中心に回りだす歯車 1.5後楽園は不気味な沈黙

高木裕美

TheEliteが次に姿を現すのは?

鈴木軍全体がLIJをロックオン 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 新日本の主役は棚橋だけではない。会場で絶大な人気を誇るロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(LIJ)は、なんと現メンバー5人全員がベルトを保持。ドームで内藤哲也は因縁のクリス・ジェリコからIWGPインターコンチネンタル王座を奪回。EVIL&SANADAはIWGPタッグ王座に返り咲き、BUSHI&鷹木信悟はIWGPジュニアタッグ王座を初戴冠した。昨年の1.5後楽園での襲撃事件以来、1年越しの抗争に臨んだ内藤は、ベルトでの顔面殴打からのデスティーノで約半年ぶりに王座を取り戻したが、その翌日、今年も悪夢が襲った。鈴木軍のタイチが、ベルトでの顔面殴打からのブラックメフィストで3カウントを奪取。昨年のG1にも今年のドームにもエントリーされなかった男が、一番おいしい獲物を狙いにきた。もともと、内藤とタイチは約9年前にメキシコCMLLで同時期に活動していた間柄。昨年1.23後楽園では一騎打ちの末、内藤がデスティーノで快勝している。すでにタイチだけではなく、鈴木軍全体がLIJをロックオンしており、両軍の抗争は昨年以上にヒートアップしそうだ。

オカダはドームでテーマ曲もコスチュームもレインメーカー時代に戻した 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 そして、昨年6.9大阪でのIWGP王座陥落以来、「迷走」と「低迷」を続けるオカダにも注目だ。これまでの“レインメーカー”から“風船男”と化したG1では結果を残せず、今年の1.4ではタイトルマッチにも絡めなかった上、ジェイに完敗。だが、ドームではテーマ曲もコスチュームもレインメーカー時代に戻し、ショートタイツ姿で颯爽と跳ぶ姿がファン(特に女性)の胸をときめかせた。今大会では盟友のYOSHI-HASHIも約3カ月ぶりに復帰したことで、今後はタッグ戦線へ本格的に乗り出す可能性もあるかもしれない。

 また、14年の初開催以来、毎年必ず「何かが起こる」のがこの1.5後楽園だったが、今年は目立ったサプライズが無かったことが、逆に不気味だ。特に気になるのが、前日の第1試合終了後、脳震盪を起こし担架で搬送された飯伏幸太の容態と、ドームで無冠となり、今大会には出場しなかったBULLET CLUB The Eliteの面々だ。ドームでは、リーダーのオメガはIWGPヘビー級王座を、CodyはIWGP USヘビー級王座を失い、ヤングバックスのニック・ジャクソン&マット・ジャクソンはIWGPタッグ王座奪取に失敗。マーティ・スカルも第0試合で敗退している。逆に、The Eliteメンバーでありながら今大会にも出場した高橋裕二郎とチェーズ・オーエンズは、敵対していたBULLET CLUB OGに加勢し、NEVER無差別級6人タッグ王座防衛をアシストすると、試合後はアンダースロー式でウルフサインを合わせ結託をアピール。もはやThe Eliteからの離脱は決定的だ。果たして、The Eliteが次に姿を現すのは、いつ、どの場所となるのだろうか。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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