東京2020 THE WAY to 2020

挫折したスイマーが転向、無職を経て
トライアスロン・福岡啓は道を切りひらく

オーストラリア修行で受けた刺激

修行先のオーストラリアでは「死ぬ気で練習した」と振り返り、1年半後の東京五輪に向けて気持ちの乗った状態で臨めそうだ(ゼッケン7番が福岡)
修行先のオーストラリアでは「死ぬ気で練習した」と振り返り、1年半後の東京五輪に向けて気持ちの乗った状態で臨めそうだ(ゼッケン7番が福岡)【(C)Satoshi TAKASAKI/JTU】

 オーストラリアでは海外選手たちの競技に向き合う姿勢からも刺激を受けた。彼らは周りに流されず自分の軸を持ち、それでいて楽しそうに取り組んでいた。そこに大きな刺激を受けつつ「ピリピリしたものもスポーツには必要」とメリハリをつけた。


 今年は現地のコーチから「結果を求めるな」と言われ、強度をあえて高くせずじっくりと練習。それでも結果が出ないと焦りが生まれるが、「初めてこのままじゃいけないと本当に思えて、死ぬ気で練習しました」と心のギアが一段上がった。それがコーチの狙いでもあり、東京五輪に向けた1年半に向けて「気持ちは万全。ガッツリといきます」と目を輝かせている。

背中を押すノムラ語録と親友

インタビュー中は持ち前の明るさを見せつつ、「いろんな人が支えてくれたからこそ、続けてこられました」としみじみと語る場面も。これからもその名の通り、自らの道を切りひらく
インタビュー中は持ち前の明るさを見せつつ、「いろんな人が支えてくれたからこそ、続けてこられました」としみじみと語る場面も。これからもその名の通り、自らの道を切りひらく【写真:高木創】

 2年前と今回の取材時で大きく異なることがあった。それが「プロとして」というフレーズを何度も口にしたことだった。大学を卒業し、所属も無くなり、そこから一歩ずつ前に進み、周囲からの支援を受けてきたからこそ出てくる言葉なのだろう。


 苦しい日々にはプロ野球の名選手であり名将だった野村克也氏の著書『野村克也人生語録』を熟読し「限界と未熟は違う」「未熟者にスランプなどあるわけがない」といったプロ意識に大きな刺激を受けた。


 また、辛い時にいつも電話をするのは、桐蔭学園高の同期で福岡と同じく東京五輪を目指す女子柔道の山本杏(やまもと・あんず/パーク24)だ。彼女には悩みを相談することもあれば、勇気をもらうこともある。


「杏と話す時はいつも重い話になっちゃいます(笑)。例えば、一歩踏み出したい時とか、誰かに何か言われた時に『気にしすぎかな?』とか。でも杏は私よりもっときつい思いをしても(言い訳せずに)強くなろうとしています」


 そして、「いろんな人が支えてくれたからこそ、続けてこられました。人から応援されるありがたさをすごく感じましたね」としみじみと語る。10月の日本選手権では、この競技の第一人者である上田藍(うえだ・あい/ペリエ・グリーンタワー・ブリヂストン・稲毛インター)と並走。送られる声援の大きさに感銘を受け「自分もこういうふうになりたい」と、意識はさらに強くなった。


 右肩上がりの成長は一度横ばいになった。ただそこで立ち止まって見えたこと、つかんだことがある。福岡にとっては、それが東京五輪に向けて再び急上昇していくため、道を切りひらく大きな財産となっている。

高木遊

1988年、東京都生まれ。幼い頃よりスポーツ観戦に勤しみ、東洋大学社会学部卒業後、スポーツライターとして活動を開始。関東を中心に全国各地の大学野球を精力的に取材。中学、高校、社会人などアマチュア野球全般やラグビーなども取材領域とする。

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