スペイン代表が抱える最大の問題とは? ネーションズリーグで繰り返した失望
凋落のきっかけはペレス会長の決断
先日のネーションズリーグ・クロアチア戦で敗れるなど、W杯以降なかなか思うようにいかないスペイン代表 【写真:ロイター/アフロ】
それを台無しにしたのがレアル・マドリーのフロレンティーノ・ペレス会長が行った間の悪い決断だった。W杯後にジュレン・ロペテギを招へいするのは自由ながら、彼はそれを大会開幕の直前という最悪のタイミングで公表すべきではなかった。
これが引き金となり、ロペテギは2日後に迫っていたW杯初戦を前にスペイン代表監督を解任された。公表の有無についてロペテギに直接の責任はない。だが自身にとってもスペインフットボール界にとっても極めて重要な大会の直前に、更新したばかりのスペインフットボール協会(RFEF)との契約を無視してレアル・マドリーと交渉を行ったこと自体、裏切り行為と取られても仕方がなかった。
ルイス・エンリケ就任後も明確な意図は見て取れず
W杯後に就任したルイス・エンリケ監督。9月のネーションズリーグこそ連勝で華々しいスタートを切ったが、その後は連敗。ファイナル4を逃している 【写真:ロイター/アフロ】
ルイス・エンリケはバルセロナを率いて輝かしい成功を手にした監督だが、まだ彼はトップレベルのチームを率いるのに十分な手腕を証明してきたとは言えない。UEFAネーションズリーグでイングランドとクロアチアを破った9月の初陣こそ素晴らしいスタートを切った。だがその後チームは2連敗してファイナル4進出を逃しただけでなく、何よりどう戦いたいのか明確な意図が見て取れず、ただ個の力に頼ったプレーに終始してきた。
ルイス・エンリケはバルセロナ時代も同様に、攻めてはリオネル・メッシやルイス・スアレス、守ってはジェラール・ピケやマルク・アンドレ・テア・シュテーゲンの個の力を頼りに、多くの試合を解決してきた。1年目のシーズン半ば、アノエタでレアル・ソシエダに敗れた直後にメッシと激しい口論を繰り広げて以降は、ピッチ内外で衝突を恐れず我を貫くという信念を捨て去り、選手たちの意向を受け入れることで結果を出すようになった。