トロロッソ、失望のブラジルGP 最終戦へ敗因の分析と立て直しが急務
雨が降る予想も裏目に
F1第20戦ブラジルGP ピエール・ガスリー 【Toro Rosso】
しかし雨は降らず、ザウバーやハースについていけなかったことでスリップストリームもDRSも使えず、後方からカルロス・サインツJr.(ルノー)らにプッシュされたこともあって燃費は想定よりもどんどん厳しくなっていった。
レースペースも良くはならず、タイヤへの負荷も減らなかった。結果、9番グリッドからスタートしたガスリーはケビン・マグヌッセン(ハース)とセルジオ・ペレス(フォース・インディア)に抜かれても付いていけず、最後は16番グリッドからミディアムタイヤで49周目まで引っ張ってスーパーソフトタイヤに履き替えたハートレーとサインツにも抜かれて13位。ハートレーもペレスから50秒遅れの11位に終わった。
最後は順位の入れ替えを指示するチームオーダーにガスリーが反発しちょっとした問題になったが、チームとしてはそれでポイントを失ったわけではない。ポイントが取れなかった最大の理由は、マシンのパフォーマンスが足りなかったということだ。
セクター1と3のほぼ全てがストレートで構成されるインテルラゴスだけに、パワー不足のその原因の1つであったことは確かだ。土曜以降はスペック3に積み換えたとはいえ、まだフェラーリユーザーに比べ遅れを取っていることは事実だからだ。
しかしインテルラゴスは決してパワーセンシティビティが高いわけではない。ストレート区間が長いように見えるが、タイムで言えばセクター1と3を足しても約33秒。逆にセクター2は34秒。中低速コーナーの多いセクター2で過ごす時間の方が長く、ストレートを速く走るよりも、コーナーを速く走る方がラップタイム的には良くなるのだ。
予選ではフォース・インディアを上回ったが、タイヤマネージメントでは負けた。その理由もパワーユニットの不利にあるのではないかとガスリーは言う。
「GPSのデータを見ても、ザウバーはストレートが速いんだ。コーナーではだいたいどこでも僕らの方が速いのに、ストレートでは僕らよりも格段に速い。依然としてパワーの差があって、実際に僕らもダウンフォースを削ってはみたけどコーナーでマシンがスライドしてデグラデーションが大きくなってしまった」
「エンジンパワーでアドバンテージがあれば、ストレートでタイムを稼いでコーナーを少し抑えて走ることができるし、そうすればタイヤに入るエネルギーを小さくすることができてタイヤの発熱を抑えることができる。彼らはストレートがすごく速くてコーナーは遅くて、ラップタイムは同じでもタイヤに掛かる負荷は小さい。長いスティントになればその差はとても大きくなる」
重要なのは事実の究明と改善
F1第20戦ブラジルGP 予選Q1落ちを喫したブレンドン・ハートレーは決勝で挽回し11位 【Toro Rosso】
ホンダの田辺豊治テクニカルディレクターは失望のブラジルGPをこう総括した。
「ガスリーは予選でQ3まで入ることができましたけど、レースではそこを守り切れずに前にも結構離されてしまいましたし、ロングランペースが良くなかったことが今日のレースの全てではないかと思います。とにかくレースペースが悪すぎました」
「タイヤにブリスターが結構出ていたのでそれはなぜかという話もありますし、今日温度が高くなると予想されてはいたもののバイブレーションが出るほどブリスターが出てしまいましたし、それをどうマネージすれば良かったのか。チームとして車体のエアロのセッティング、燃料搭載量、タイヤマネージメントを、何がどう良くなかったからこうなってしまったのか、ということをきっちりと分析していかなければなりません」
重要なのは犯人捜しではなく、なぜ遅かったのかという事実を究明し、それを改善することだ。ダウンフォース不足やパワー不足が原因なら、すぐに直すことは難しいのだから2019年に向けた糧とする。セットアップに原因があったのなら、二度とその過ちを犯さないように教訓とする。それが今のトロロッソ・ホンダに求められていることだ。
ザウバーと9ポイント差のコンストラクターズランキング8位争いもまだ諦めてはいない。
「最後はきっちりした形で1年を締めくくりたいと思っています。アブダビGPで中団上位でフィニッシュできればまだ可能性はありますから、最後まで諦めずに戦います」
泣いても笑っても2018年のトロロッソ・ホンダの戦いは残すところ1戦のみ。ブラジルの敗因を徹底的に究明し、アブダビで持てる力の全てを引き出して結果へとつなげなければならない。
(テキスト:Mineoki Yoneya)